年末の風物詩で、今年を代表する言葉を選ぶ「現代用語の基礎知識選 2023ユーキャン新語・流行語大賞」が1日、都内で発表され、38年ぶりの日本一を達成した阪神タイガースの流行ワード「アレ(A.R.E.)」が年間大賞に輝いた。21年の「リアル二刀流/ショータイム」、昨年の「村神様」に続いて、野球関連が3年連続の快挙。阪神関連では過去に03年の「勝ちたいんや!」など3度ノミネートされていたが、年間大賞は初受賞となった。「アレ」の“原案者”である岡田彰布監督(66)が受賞者となった。

表彰式の壇上で岡田監督は「勝利監督よりもうれしいです。久しぶりにユニホーム着て、野球界でも賞をもらって、今日は12月ということで、今年最後になると思いますけど、素晴らしい賞をいただいて、うれしく思うし、また来年から、ちょっと大変だなと、そういう気持ちでいます」とコメントした。

流行語大賞のノミネート30語が発表された時点で岡田監督は「ええ、そうか。まあ、はやったよな。他の競技でもアレ言うてるやん」と、今や社会現象にもなっていることを自覚していた。「流行語大賞を取れるか」と問われると「ないよ。そんな。別にええわ」と照れ笑いしていたが、堂々の大賞となった。

「アレ」の起源は13年前にさかのぼる。岡田監督がオリックス監督時代の10年、交流戦で勝利を重ねる中、選手が意識しすぎないように「優勝」とは言わず「アレ」という表現を使用。コーチや報道陣まで「アレ」と表現し、初優勝を飾った。当時は交流戦優勝グッズとして「アレしてもうた」Tシャツが売り出されるなど話題となった。

阪神で第2次政権を指揮するにあたり「アレ」が復活。昨年10月16日の就任会見で「『優勝します』とかよう言わないですけど、ずっと優勝は『アレ』しか僕は言ってなかったんで。はっきり『優勝します』とかよう言わないですけど、シーズン終わる頃には楽しみにしてもらったら僕はいいと思いますね」と宣言するところからスタートした。プレッシャーを和らげるはずの「アレ」が、「優勝」を意味する言葉として浸透。選手たちも喜んで使用してきた。

球団は23年シーズンのチームスローガンを「A.R.E.」に設定した。AはAim(エイム)で目標。個人として目標を定め取り組むことを落とし込んだ。RはRespect(リスペクト)で、伝統球団らしくチームの先輩やOBを敬う気持ちを大切に。EのEmpower(エンパワー)は個々のパワーアップ。指揮官が求める個々のレベルアップの意味を込めた。

読み方は「エー アール イー」だが、ローマ字読みをすれば「アレ」。18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一を達成した今季の阪神を象徴するワードが「アレ」だった。

来季のスローガンには佐藤輝明内野手(24)が「アレ」と「連覇」をかけた「アレンパ」を提案済み。岡田監督も「初めて佐藤のことすごいと思った」と驚いていた。実際は「『A.R.E.』をね、少しアレンジした形で。(後ろに)何か(言葉を)つけるって聞いたけど」と協議が進行していると明かしており、来季も「アレ」が虎の流行ワードになる可能性は十分にある。

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