地元のヒーローが帰還した。阪神大山悠輔内野手(28)が茨城・下妻市の観光大使就任式に出席した。同市の小学生から高校生までの野球少年少女が駆け付け、保護者ら大人も含めると約500人が集結。先輩の凱旋(がいせん)に、会場の子どもたちからは羨望(せんぼう)のまなざしが向けられた。

スポーツ選手では3人目、プロ野球選手としては初となる下妻市の観光大使就任。虎の4番が使命感を口にした。

「以前通っていたお店とかも、閉まっているところも多い。観光大使だったり野球の活躍がきっかけで下妻市に行こうかという方が増えてくれるだけでも、全然違うと思う。遠い所から足を運んでみようとなってもらえるように。もっともっと頑張りたい」

全国の多くの地方自治体と同じく同市も人口減少が進み、小学校の生徒数も減少傾向にある。この日は4つの少年少女野球チームが式に参加したが、大山の少年時代からは半減したという。

日本シリーズでの激闘は全国的に生中継され、地元が大いに沸いた。普段は阪神戦を地上波中継を見られないファンにも届いた。「普段は試合を見ない方からも連絡をもらいました。それだけ日本全国で観てもらえたんだなと。来年はまた一から始まるので、また勝てるように頑張りたい」。自身があの大舞台に再び立てば、また地元の野球熱も高まる。

この日は小学生にはサプライズで、直筆サイン入りの帽子を1人1人、全96人にプレゼントも行った。式中には小学生からの質問会も開催。来年取りたいタイトルは? という質問には「優勝。日本一です!」と力強く返答した。来季も日本シリーズに進出し、2連覇へ。下妻観光大使の決意は固い。【波部俊之介】

◆下妻市 茨城県西部に位置する市。梨やスイカ、、畜産業などが盛ん。04年には、ロリータファッションの少女とヤンキー娘の友情を描いた映画「下妻物語」がヒットし、話題となった。11月1日現在の人口は4万1613人。菊池博市長。