阪神のドラフト新入団選手が7日、兵庫・西宮市鳴尾浜の選手寮「虎風荘」に入寮した。

ドラフト1位下村海翔投手(21=青学大)は小学生時代からバイブルにする、人気漫画「ドラゴンボール」全42巻を持参。自身を主人公・孫悟空のライバルにあたるベジータに例えた。孫悟空は青学大の同学年右腕・広島ドラフト1位常広羽也斗投手(22)。新たなライバル物語が始まる。

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スーツ姿に身を包み、下村が鳴尾浜でプロとしての“1歩目”を踏みしめた。実家から車で約20分の距離にある虎風荘。同期の各選手が思い思いの品を持ち込む中、選んだのは幼少期からの“バイブル”だった。

「漫画だったりアニメを見ることが好き。きっかけになった作品が『ドラゴンボール』だった」

父毅さん(53)の影響でハマった同作。小学校低学年の頃、周囲の友達が仮面ライダーなどに熱中する中で、親子の会話はドラゴンボールであふれていたという。自分で買いそろえた漫画全42巻を持参し、高校時代から数えて8年目の寮生活をスタートさせる。

作品の中で特に好きなキャラクターは主人公・孫悟空のライバル「ベジータ」だ。「悟空に置いて行かれながらも、それでもやっぱりライバルじゃないですか。ずっと這い上がってきて。かっこいいですね」。

下村も青学大時代は、広島からドラフト1位指名された同学年の常広と切磋琢磨(せっさたくま)してきた。自身にとっての“悟空的な存在”を問われると「常広じゃないですかね」と即答。「どっちかというと僕がベジータ。常広がずっと注目されてきて、追いつけ追い越せで頑張ってきたので。プロでも高い位置で、お互い競い合える存在になりたい」。自身と重ね合わせ、プロでも高め合いを目指す。

ライバルに負けないためにも、オフは「ケガをしない身体作り」に集中。ストレッチなどを練習の中心に「逆算して」入寮日に照準を合わせてきた。9日からは新人合同自主トレも開始。「アピールしようと思うのではなく、いつも通りやっている所を評価してもらえるように」とスタートダッシュへ心構えは万全だ。

作中では7つのドラゴンボールを集めると、シェンロン(神龍)によって願いごとがかなう。だが下村は願いがかなうとしても「全部頼りたくはないので、元気でずっとプレーする所を見守ってほしい」とキッパリ。カメハメ波ばりの“必殺”カットボールは習得済み。目標の新人王は、自力でつかむ。【波部俊之介】

◆ドラゴンボール 鳥山明原作。日本を代表するアクション漫画で、全世界にファンを持つ。主人公の孫悟空が、7個そろえば願いがかなうという、ドラゴンボールを集める旅に出る。中盤から格闘家世界一競う「天下一武道会」へストーリーが展開した。ベジータは惑星ベジータの王子で、孫悟空の最強のライバル。

<阪神の主な入寮時のエピソード>

◆藤川球児(99年)虎風荘史上、最大32インチのテレビを持ち込んだ。登板試合を全てビデオに収め、細かい動きもチェックすると意気込んだ。

◆鳥谷敬(04年)衣服や日用品など、段ボール5箱分だけを持参。「部屋にいるより、いろんなことに慣れていきたい」とテレビは持ち込まなかった。

◆藤浪晋太郎(13年)好投手たちの動画を収録したデスクトップ型のパソコン持参。ダルビッシュ(当時レンジャーズ)らの徹底研究に意気込んだ。

◆大山悠輔(17年)用具には、大好きな赤をあしらったものをそろえた。報道陣に黒色ベースに赤い線が入ったグラブと、赤茶色のものの2種類を披露。

◆佐藤輝明(21年)地元兵庫・西宮市のふとん店で別注した約50万円の特注マットレスを持参。「めちゃくちゃ眠れます」とさっそく感触を確かめた。

◆森下翔太(23年)新品グラブは黒と黄色のタイガースカラー。「気合十分ということをグラブに表しました」。阪神愛を込めた新アイテムで決意表明。

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