阪神佐藤輝明内野手(24)の“成長”に、恩師が仰天した。近大在籍時の監督だった田中秀昌前監督(66)は「まずビックリしたのが、10分前に来たんですよ。人として成長したのかな」と目を丸くした。

午前10時が自主トレ開始予定時刻だったが、同9時50分に佐藤輝の愛車がグラウンドのある敷地内に滑り込んできた。「えっと驚きました。(それが)まず、第一印象ですね」と、まさかの思いで息をのんだ。

もれ聞く遅刻癖に、恩師も心を痛めてきた。「時間の観念がどうなのかと。いい意味で言ったらおおらかというか、マイペースというか。時間ぐらい守らなあかんのちゃうかという。人として当たり前のことをやってほしいし。だから、今日はまず第一印象驚きました、10分前に来たのは」と新年早々の改心に一安心。成長を促した要因として「矢野監督があかんとかじゃなくて。岡田監督とか平田ヘッドコーチの下でやるのが、彼にとってはいいのではないかなと。(昨年)6月にも岡田監督にファームに落とされて、打撃の不振だけじゃなくて、阪神のレギュラー選手として立ち振る舞いから見直せという意味で落とされたんかなと勝手に自分は想像してたんですけど。そういうことを経て、彼は後半に非常に活躍して、優勝に貢献したと思いますし」と分析。矢野前監督は自主性を認めて長所を引き出そうとしたが、現在のベテラン首脳陣は要所で引き締めた。その厳格さに感謝した。

その上で「個人的には彼のポテンシャルはもっともっとあると思ってるので。ゆくゆくはホームラン王を取って欲しいし、チャンスに強い選手になってくれたら」と期待。かつてレッドソックス吉田正尚外野手(30)が佐藤輝を見て「体をより柔らかく使えたら、もっとすごい選手になる」と話したことが、鮮烈な記憶として恩師の耳に残っている。本拠地・甲子園の広さも浜風も克服し、阪神の日本人打者では1984年掛布雅之以来となる本塁打王奪取を恩師は熱望した。