真っ青な寒空の下、岡田監督の言葉は熱かった。「新しい強いタイガースのスタートが今年からだと思うんで。その中に何人入るか分からないけど、その一員になれるように、やってもらったらええと思うんで」。18年ぶりのリーグ優勝、38年ぶりの日本一に輝いてから初のルーキーズ。緊張な面持ちの“黄金時代1期生”に、常勝の担い手となる自覚を植え付けた。

「新人なんか今年1年が勝負じゃないわけだから、これからがスタートなんだから」。長いスパンで考えるからこそ、繰り返したのは「焦る必要はない」ということ。一番怖いのは、目の前のアピールで無理をした結果の長期離脱。昨年はドラフト1位森下が負傷により、春季キャンプが当初の1軍から2軍スタートに変更された経緯があった。新人の心情を推し量るように「悪いところあるけど、自分の中で隠して、悪いけどやるとかそういうことないように。早い時期にそういうことが分かったほうが、早く復帰できるし。みんなそうよ。何か持ってるよ」と諭した。

同じように新人を目の前にした1年前から、指揮官の心持ちにも変化があった。「このオフは去年と比べたらやっぱり全然ちゃうよなあ。もう去年はやっぱり、いいスタートを切りたい、口では言わないけど」。ともに戦うのは初めて対面する選手たちばかり。言葉にせずとも、シーズンの始まり方を気にかけていた。「全体的なレベルアップを見ることがまず一番になってきたからね、おーん。長いシーズンを見据えてスタートできるよ」。

不可欠なピースとして右打ち外野手の森下を待ち望んだ昨年とは異なり、今年求めるのは全体的な底上げ。ルーキーに猶予を与えられるのも、先輩選手たちの実力に自信があるからこそだ。「今年なんて、そこに開幕から入り込んでいくいうのは、すごく、結構ハードルは高いと思うよ」。乗り越える選手が現れた時に、黄金時代は近づくはず。「今年は新しいタイガースのスタートという意味でみんな分かっていると思う。そういう気持ちを持って2月1日にまたスタートしたい」と指揮官。ルーキー8人が、新しい猛虎のリーダーズになる。【磯綾乃】

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