俺も由伸ロード歩む! 昨季セ・リーグMVPの阪神村上頌樹投手(25)が14日、静岡県沼津市で自主トレ公開した。先輩の青柳晃洋投手(30)が中心の自主トレで昨季大ブレーク。今年も、あえて何もモデルチェンジをしない“王道”で2年連続MVPを狙いにいく。同じ学年で、3年連続MVPを置き土産にメジャーに羽ばたいた元オリックス山本由伸投手(25)に迫る1年にする。

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富士山を間近に望む愛鷹(あしたか)球場。昨オフに続き訪れている縁起のいい地で、成し遂げた快挙を実感した。野球教室で小学生から「MVP!」の声が飛んだ。1年前は青柳の陰に隠れた、いちプロ野球選手だった。「去年とは全く違ってMVPおめでとう、優勝おめでとうと言ってもらえて。頑張ってよかった。名前を覚えてもらえた」。照れ笑いを浮かべた。

青柳が帝京大時代から師事する内田幸一トレーナー(47)の指導で体の使い方を学び直した。特に踏み出し足をつくタイミングと強さを追求することで直球に磨きがかかった。青柳の助言もすべて身になった。

「本当にいいきっかけをいただいた。青柳さんに2年続けるのは難しいと言われたんですけど、去年と変わらず投げれば絶対勝てると言われている。今までやってきたことを信じて投げたい」と決意を語った。

実質の2年目のジンクスが待つ。アップデートしていく選手が多いが、あえて何も変えないことを選んだ。「ちょっと考えているところもある。もし引っかかったら、その引き出しを出せば大丈夫かと。最初からさらけ出すことはしません」と、改良できる部分も把握していることを示唆した。逆に現状の完成度の高さも示している。

「そのまま」昨季のパフォーマンスを出せれば2年連続のMVPが当然近づく。MVPの連続受賞は過去に15例、12人しかいない大記録。昨年まで3年連続のオリックス山本が最長タイだ。NPB最強右腕といわれた山本は村上と同学年意識せざるを得ない存在。「(3年連続は)すごいこと。そういう投手になれるように、同級生ですけど、頑張って追いつけるように」とうなずいた。

慢心とは無縁だ。ぶっちぎりの開幕投手候補だが、初の開幕ローテ、そして貯金「7~8くらい」をノルマとした。「昨年開幕ローテに入れず悔しかったので、何がなんでも。うかうかしていたら絶対入れない投手陣なので、その座をつかみ取って1年間回りたい」。控えめにも聞こえる言葉が、頼もしさを感じさせた。【柏原誠】

◆連続シーズンMVP 過去3人で、いずれも阪急・オリックスの選手。76~78年山田久志(当時阪急)、94~96年イチロー、そして21~23年の山本由伸。MVPの獲得回数最多は王貞治(巨人)の9度。

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