プロ野球の現役審判員を対象とした日本野球機構(NPB)の審判員研修会が17日、開かれた。NPB初の試みで、日本テレビの上重聡アナウンサーが講師に招かれアナウンス研修が行われた。

リプレー検証など、プレーが止まった後に審判員が場内放送で説明する機会は少なくない。セ・リーグの杵渕統括は「放送が適切になかったときには、現場で監督さんと審判がどういうやりとりがあったんだろうとか、観客が置き去りになっている。これは丁寧に説明した方がいいだろうと、森審判長の方針もあります。一方、そこでとっさにマイクを持って何万人の前で放送をするわけですので、それが逆効果になってしまったということも。うまく審判の説明、趣旨が伝わらなかったとか、そういうことも何件かありました」と研修導入の趣旨を説明した。

リプレー検証、守備妨害、走塁妨害など実際にあった映像を見て、上重アナウンサーが「私だったら、こう言います」と手本を示した。上重アナウンサーからのアドバイスは「緊張したときこそ、ゆっくり、はっきり、しゃべって下さい」だった。

参加者からは積極的な質問が飛んだ。森審判長は「プロのしゃべり手のお話をいただいて、我々としても非常に参考になりました。全部、同じようなことはできるわけではないですが、ある意味、我々は説明責任を求められている。すごく参考になった講習でした」と振り返った。

森審判長は現役審判員としてグラウンドに立っていた頃は、マイクを持つことが「嫌で、嫌で、しょうがなかった」という。だが、今は審判長の立場。「安いお金ではない中で、お客さまは足を運んでいただいている。何があったのかな、あれは何で走者は進めなかったのかなと、そういうモヤモヤしたままお帰りいただくよりも、そうだったんだと、そういうことだったんだと、すっきりとした気分で帰っていただきたい。また球場に行きたいなと思うようなアナウンスができたら100点満点」と審判員の技量向上に努めるつもりだ。

研修会では、コンプライアンスについても学んだ。昨秋に楽天でパワハラ事例が表面化したことが背景にある。また、NPBが取り組む暴排活動についても学んだ。