巨人の宮崎春季キャンプで臨時コーチを務めるOBでヤンキースGM付特別アドバイザーの松井秀喜氏(49)が9日、宮崎入りした。臨時コーチは18年以来6年ぶり4度目で、第3クール初日の10日から14日まで5日間の短期講座。現役時代の01年から2年間ともにプレーするなど深い縁がある阿部慎之助監督(44)からラブコールを受けて実現した。経験、成長の筋道を可能な限り伝授していく。

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ゴジラが宮崎に上陸した。ワインパープルのスーツに身を包んだ松井氏は「ジャイアンツの目標は優勝以外にないですから。優勝という目標にチーム全体で向かう中で何か背中を押せるような、ちょっとした刺激になればいい」と言った。6年ぶりのゴジラ塾。「自分が持っている経験したこと、見たものというのは変わりようがない。その中からどんなことを、どういう風に伝えていくか」と濃密な時間を共有していく。

全選手に目を光らせながら、広い視点でゴジラ流の打撃論を伝えていく。「こういう考え方もあると。ちょっとした何か今までにない視点みたいなものを提供できたら。自分のバッティングをどうつくるか。そこにどちらかといえば軸足を置くつもり」と才能を開花させる筋道を示す。自身の現役時代の背番号55を背負う秋広には「飛躍の年になったと思いますが、また新たなスタート」とさらなる形態への進化を求めた。

日米通算507本塁打のレジェンドも6月で50歳。「10年前とは違うんですから」と苦笑い。フリー打撃の実演は「宮崎に来てけがをして、あいつ何やってるんだとならないように」と控えるが「トスだったら投げます」と寄り添う。

8年前も坂本に軸足の右足に体重をためる打法を伝授。その年に坂本は初の首位打者を獲得した。前回6年前は岡本和には下半身の使い方、軸足の体重の乗せ方など長距離砲の極意を伝えた。「選手から質問があれば答えようと思ってます」と来る者を拒まず歓迎し、細かな技術も指導していく。

阿部監督が1、2年目の時に松井氏は不動の4番だった。同じ左のスラッガーでもあり、特別な関係性が続いていた。臨時コーチ就任の直接ラブコールを「声をかけてくれるのは素直にうれしい」と快諾し、スケジュールを調整した。「新風」を掲げるチームに、ゴジラが強烈な熱風を吹き込む。【上田悠太】

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