「未完の大器」が、近未来に輝きを放つ。楽天ドラフト7位の大内誠弥投手(17=日本ウェルネス宮城)は、191センチの長身から投げ下ろすボールが持ち味。宮城・東松島市出身で、楽天ファンの高校生は同校で急成長し、地元のプロ野球選手になった。勇気をもらった側から今度は与える側へ-。野球で宮城や東北の人に活力を与える。

 

1月28日に新人合同自主トレを打ち上げ、春季キャンプが1日からスタート。昨秋のドラフトでは5投手が指名され、大内は同自主トレでレベルの高さを痛感した。「(自分は)筋力がない方。トレーニングなどでメニューに遅れ、ピッチングを見ても球の強さが違うのを見て、自分の力のなさを感じた」。甲子園出場や地方大会上位進出などの実績がある同学年、4歳上で体ができている大学生に劣等感はあったが、やるのは自分だ。

野球に専念したいという思いで日本ウェルネス宮城に進み、練習は「体力強化」から始まった。利用するグラウンドまでの約7キロを自転車で移動し、スタミナを増強。3年夏はロッテ佐々木朗希投手(22)のように左足を高く上げるフォームを駆使し、高いリリースポイントから投げ込んだ。チームは県大会2回戦で敗れたが、最速144キロ右腕の将来性が評価され、プロ入りが実現した。

「ダイヤの原石」は、これまでYouTubeなどを参考に独学で技術を高めてきた。今後は専門的な指導を受けていく。「いろいろ聞く中で自分が思っていたことが違い、間違いだらけだった。そこ(指導)は楽しみ」と多くを学び、自分のものにしていく。

今季は体重85キロ、最速は150キロ以上の計測を目標にする。同校の金子隆監督(66)は「体を大きくするだけで球速は上がり、直球に磨きをかければ変化球も生きる。体力と直球の威力をつけ、細かい部分は助言を受けてやってくれたら」と飛躍を願っていた。「今季は体作りの中でも投げる体力をつけていく。基本に忠実に頑張りたい」と大内。数年後のブレークを予感させる右腕。結果で恩返しする。【相沢孔志】

 

◆大内誠弥(おおうち・せいや)2006年(平18)3月9日生まれ、宮城県東松島市出身。日本ウェルネス宮城では甲子園出場なし。23年ドラフト7位で楽天入団。191センチ、77キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸500万円。目標の選手はロッテ佐々木朗希。