阪神村上頌樹投手(25)が18日、広島との練習試合(コザしんきんスタジアム)で今季初めて実戦マウンドに上がり、2回をノーヒットで終えた。昨季MVP右腕の仕上がりぶりに岡田彰布監督(66)も全幅の信頼を置いた。技術面は昨季をベースにして上積みを図り、気持ちは今年もチャレンジャー。開幕投手の最有力候補が、自身初の栄誉を自らつかみ取る意気込みを明かした。

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広島堂林はピクリともできなかった。初回2死一塁。カウント2-2からの7球目、村上-坂本のバッテリーがフィニッシュに選んだのは内角直球。理想の球筋が、ベースの隅をかすめてミットに吸い込まれた。

「堂林さんへのインコースはよかったと思う。1球で投げ切れたのがよかった。今日はバランスよく投げられましたし、直球の指のかかりがいい感覚だった。それをしっかり実戦でできたことが収穫です」

相手の気配。捕手との呼吸。数センチ単位のボールの出し入れ。勝負勘が戻ってきたようだった。

今年最初の実戦登板。調整が遅れていたわけではない。1月の自主トレから快調にペースを上げ、キャンプ初日から変化球も交えて50球を全力で投げ込んだ。それから17日。村上はじっくりと自らと向き合っていた。大活躍した昨季から目に見えて変えたものはない。スピードを含めた直球の質、変化球の精度を磨くことに専念。打者と相対したのもフリー打撃登板の1度だけ。ブルペンで見せる「質」は昨季と同じか、それ以上。村上は任せてもいい-。そう首脳陣は判断している。

岡田監督の口ぶりも同様だ。「村上、才木は初めてやし、普通やろな。昨日、今日の先発ピッチャーはな。今は普通に、順調にいってるいうことだけやろな」と、柔和な表情で短く語るだけだった。

昨季、10勝6敗、防御率1・75のMVP右腕。初の開幕ローテ入りは確実で、開幕投手の最有力候補ともいえるが、本人は甘えるつもりはない。1年前とは立場が違う、という質問にも謙虚に答えた。「アピールすること(立場)はあまり変わりない。しっかり開幕ローテ、開幕投手を目指してやっていくだけです。昨日もヤギさん、マサシさん、モンちゃんと先発陣がみんないい投球をしていたので、負けないように、食らいついていけるようにと、マウンドに上がりました」。前日17日の楽天戦では青柳、伊藤将、門別が登板し、無失点でアピール。刺激を受けていた。

岡田監督はローテの順番について「3月、3月。そんなもん全然決めてないで」とも言った。順番はどうであれ、村上への信頼はまた高まったに違いない。【柏原誠】

▽ヤクルト松井スコアラー(村上について)「初回は少し力んでいたけど、2回から修正してきた。しっかりまとまってコントロールできるし、切れもあって変化球も操れている。決まる球はすごい。イヤな投手。今年もいいんじゃないか」

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