そら、バットのせいよ。阪神岡田彰布監督(66)がダメ出しを続けてきた森下翔太外野手(22)をついに、ほめた。6番右翼で先発した森下は2回の第1打席の場面で左中間へ二塁打を放った。今春から使い始めた安打量産型のピート・ローズモデルのバットではなく、昨年モデルに戻して対外試合初の長打。指揮官は「バットが悪かった」と笑い飛ばし、さらなる長打増を確信した。

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岡田監督が試行錯誤を続けてきた森下を、ついにほめた。オチをつけたがる大阪人らしく森下の話題をひと通り話し終えると、にやり笑った。「だから別に打ち方とかそんな悪ないやんか。バットが悪かった。そうやん」。すべてをバットのせいにして、笑いを誘った。

痛烈な打球だった。2回2死の第1打席。森下が中日柳の直球を捉え、左中間を破った。今季オープン戦初安打はキャンプ初の長打。その手には昨年と同じ型のバットが握られていた。「自分の中では最初から徐々に根気強くやってきたことが、最後の方になって、結果として出たのは良かったかなと思う」。模索してきた時間は決して無駄ではなかった。

森下は今春、メジャー最多安打を放ったピート・ローズ型のこん棒型バットを使用してきたが、なかなか打球が上がらず試行錯誤。最終クール前に昨年型のバットを取り寄せ、相棒探しを続けていた。指揮官も「(打球が)上がらんやろ? あのバットじゃ。いつか上がるバットに変えるやろ」と話していた。森下は前日24日ヤクルト戦(浦添)に代打出場した際に同型バットを使っていたが、この日は昨年モデルを全打席で使用した。

ここから長打量産へ。岡田監督は現状を的確に指摘した。「ちょっと(打つ)ポイントが悪いわな。スイングの速さであそこまで持っていっとるけど。もうちょっとボール半分くらいポイントが良かったら、もっと軽く、スタンド行くんちゃうかな、おーん」。修正点はまだあるが、来月6、7日に行われる侍ジャパンの強化試合を終えるまでは、もう少しだけ「放牧」する。「侍まで放っておこうと思ってるから。侍から帰って甲子園からやろ。全然間に合う」。指揮官の頭の中には、もうしっかりと森下完成計画がある。

オープン戦は19年以来の開幕3連敗となったが、指揮官に暗さはない。「まあ、(これから)実戦慣れていくことやろ」。オープン戦は開幕まで残り17試合。打球の上がってきた森下とともに、チームも開幕に向けて上昇する。【磯綾乃】

◆レギュラーちゃうよ 1月24日に大阪市内でのトークショーで佐藤輝の三塁や木浪の遊撃に続き、森下の左翼ポジションについて言及。「分からんよ」と、レギュラー確約をしていないことを明かした。

◆もっと走れ サンテレビの「熱血!タイガース党」に出演した1月26日、森下のキャンプでの走力向上に言及。「赤星(憲広氏)が臨時コーチ来るんでね、森下は去年盗塁1個かな。もうちょっと走れると思う」と期待した。

◆あれじゃ打てへん キャンプ初日の2月1日に森下の打撃を見て「なんかな。変な打ち方しとったな。速攻でバッティングコーチに言っといたわ。あれじゃ打てへんのちゃうかって」と特打まで観察。

◆打てへん思うてる 元広島監督の緒方孝市氏と、2月16日付の日刊スポーツ大阪版で対談。佐藤輝と並び「去年インパクトはあったけど(今年は)打てへんと思ってる。打ったらもうけもん」と笑った。

◆戻すの遅いわ 森下は第4クールまで、昨年末作成のこん棒型バットを使用。実戦5試合ノーヒットを受け、22日の練習から昨季モデルのバットで打撃練習を行った森下に「遅いっちゅうねん」と苦笑い。

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