サブマリンが再浮上する。巨人高橋礼投手(28)が27日、日本ハムとの練習試合(那覇)で2番手として登板し、2回完全投球を披露した。ソフトバンクからのトレード移籍後、初の実戦登板で先発の一角として開幕ローテーション入りを猛アピール。プロ2年目の19年には2桁勝利を挙げ、一世を風靡(ふうび)した希少種の下手投げも、ここ2年は白星から遠ざかった。阿部監督が掲げる“ど真ん中論”で、移籍をきっかけに再び浮かび上がってきた。

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高橋礼がど真ん中に構える山瀬のミットをぐっと見つめた。3回先頭、日本ハム加藤豪への初球。118キロスライダーは少し外に抜けたが、ベースの端をかすめた。ど真ん中狙いが功を奏してストライク。1ストライクからの2球目、真ん中低め116キロスライダーで中飛に仕留めた。23球の2回完全投球に「計画通りに進められている。結果につながる練習をしていると思ってる」と手応え十分だった。

制球力が課題ゆえ、コースを狙い過ぎてカウントを悪くした過去とは明らかに違う。初球ストライクは打者6人中5人で、ボールは4番万波だけ。21年は打者19人で初球ストライク9人、22年は打者63人で同33人と苦しんだ。

だが移籍後、阿部監督に気づかされた「困ったらど真ん中」の意識に再起を後押しされている。「ストライクを取るのが苦しいというメンタル、技術ではなくなっている。難しいことを考えなくていいと余裕を持たせてもらえるのはありがたい」と変化を実感する。

1軍で投げる姿を鮮明に常にイメージしている。朝起きてから深呼吸する時も、ブルペン投球時も、ウエートトレーニング時も心の中で「ここは東京ドームのマウンドだ」と言い聞かせて奮い立たせる。ソフトバンク時代の昨年8月20日西武戦で2回持たず、2軍降格を強いられた。王貞治球団会長から「そのボールでバッターに何を打たせたいのか。ゴロかフライか三振か。それを強くイメージしてブルペンに入れ」と教えられた。投球だけでなく、日常でも目指す姿をイメージするのが習慣となった。

好投でアピールを続けることで先発ローテ入りは現実に近づく。ここ2年、未勝利のサブマリンは「いい意味でプライドを持って若い選手に負けないように。1試合でも多く投げ、リーグ優勝、日本一に貢献したい」。高橋礼が狙うは先発陣のど真ん中。大胆に、強気でこじ開ける。【上田悠太】

◆巨人先発投手陣 開幕投手に内定している戸郷、山崎伊を柱に菅野、グリフィンが続き、メンデス、高橋礼、赤星らがローテーション枠を争う。ドラフト1位ルーキー西舘の起用は現状では先発、中継ぎと流動的となっている。2軍キャンプに参加中の横川、井上らもアピール次第では食い込んでくる。

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