その目に狂いはなかった。侍ジャパン井端弘和監督(48)が欧州代表との強化試合から一夜明けた8日、大阪市内で取材に応じた。前日7日には、抜てきした大学生の関大・金丸夢斗投手(3年=神港橘)が先発で完全リレーの口火を切ると、愛知工大・中村優斗投手(3年=諫早農)も続いてゼロ行進。野手では青学大・西川史礁外野手(3年=龍谷大平安)が2試合計3安打と活躍するなど収穫の多い2試合だった。

「趣味」だという“スカウト活動”が、ここにきて実を結んでいる。就任前から、アマ野球が行われている全国の球場に自ら駆けつけるのがライフワーク。北海道まで足を運ぶこともあり、愛知工大という全国的には知名度の高くない中村も事前に把握した上で、昨年12月の大学日本代表候補松山合宿を視察。目の前で157キロの球を見て一気に招集へかじを切った。

公式戦出場10試合だった広島田村は、愛工大名電時代の春季愛知県大会に足を運んでいた。「愛知は庭みたいなものですから」と3年前の春、当時投手だった田村のスイングを見て「高校生離れしている」と感じたのを今も記憶する。広島で野手に専念し、昨季頭角を現すと、昨年11月のアジアプロ野球チャンピオンシップでもリストアップ。今回、スタメン出場した第2戦で初安打を決めた。

井端監督は言い切る。「極端に言ったら、小学校1年生で170キロ投げたら選ぶ。一中年おじさんが野球観戦に行くような感覚でまたいきたい」。遊撃の名手でならした守備範囲同様、そのフットワークと目利きが、日本球界全体の底上げをもたらそうとしている。【栗田成芳】