若虎の快投が、敗戦の中で光り輝いた。阪神門別啓人投手(19)が今季初の回またぎ登板で、2回1安打無失点と存在感を示した。

「初回は納得するピッチングができた。2イニング目は打たれたけど、その後は要求通りに納得のいく球を投げられました」

まずは3点ビハインドの8回に登板し、ピシャリと3人斬り。ドラフト1位度会はこの日最速の148キロ直球で空振り三振に仕留めた。9回は代打松尾に左翼フェンス直撃の二塁打を浴びるなど、2死二塁のピンチを招いた。続く5番宮崎はやや敬遠気味に四球で歩かせたが、それもまた学びになった。

「本当は宮崎さんと勝負に行きたかったけど、ああいう状況なので。自分の中で気持ちを抑えて、次で勝負できた。そういうところも勉強しないといけないので、そこは良かったです」

内に秘める闘志を抑え、6番関根を初球142キロ直球で遊飛。冷静さを保ち、無失点で切り抜けた。

それでも悔やんだのは同学年に許した安打だ。同じく19歳の松尾とは昨年7月のフレッシュ球宴でも対戦。門別はウエスタン・リーグの先発として登板し、左前打を浴びていた。9カ月ぶりに1軍で実現した再戦。マウンド上ではクールな左腕だが「またどこかで対戦したら、次は絶対に三振で抑えたいと思います」とリベンジへ熱を込めた。

この日の投球では随所に変化球も織り交ぜた。岡田監督は「もっと真っすぐ投げえ言うたんやけどな」と指令を明かした。試合後に伝え聞いた門別は「自分は聞いていなかったんですけど、真っすぐでいこうと思っていた」ときっぱり。次回のマウンドでは注文通りの力勝負を披露するつもりだ。

今季は中継ぎとして開幕1軍入り。30日の巨人戦(東京ドーム)での今季初登板も1回無失点に抑えており、無失点投球を継続中だ。関西の虎党にお披露目となったホーム開幕戦。潜在能力の高さを早速、見せつけた。【波部俊之介】

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