独特の大きな弧を描くスイングにはじかれた打球が、左翼の芝生にはずむ。阪神大山悠輔内野手(29)が貴重な適時打2本で、掃除屋の真骨頂を示した。
1本目は3回。森下の3ランで逆転したあと佐藤輝が内野安打でつなぐと、捕逸で二塁へ。追い込まれてからフォークを拾う左前打で4点目。怒濤(どとう)の5連打を締めた。
「何があるか分からないので1点でも多く、がチーム全員のテーマ。テルもつないでくれて、もう1点という気持ちでした」。前日、顔面に自打球を当てたが何のその。塁上で、黒いあざが残る右ほおを緩めた。
5-2の7回は2死満塁で黒原のスプリットを逃さず、左翼前にライナーを飛ばした。ほしかった2点。その裏、3点返されただけに大きな意味を持った。
一方でその裏先頭の失策から追い上げられた。「あそこからこういう展開になってしまったので本当に申し訳ない。助けてくれた投手陣と、みんなに感謝しています」と頭を下げた。
開幕から体の状態が上がらず、どん底の不振を経験した。そんな日々でも意識していたことがある。「土台となるものは、しっかり持っておかないといけない」。体の調子が上がってきた夏場以降、目に見えてスイングが安定した。土台を作りながら、相手に即時対応するためのあらゆる準備を重ねた。「引き出しを作りたいとずっと思っている。いろいろな場面があるから、自分の中で選択肢が多い方がいい」。この勝負強さには根拠がある。
「勝つことが簡単じゃないとあらためて感じる。またチーム一丸となって勝ちに向かいたい」と引き締めた大山。2本のタイムリーで、得点圏打率はリーグトップの3割4分7厘に上昇した。森下、佐藤輝、近本と阪神勢が上位を独占。岡田監督は「ランナーいてる時、特にな。(7回の)2点が大きかったよなあ」と上機嫌。ホットなカルテットがペナントレースをまだまだ熱くする。【柏原誠】



