2位確定! 阪神佐藤輝明内野手(25)が執念の本拠地CS決定打を放った。5-6と1点差に迫った7回2死一、二塁の場面。DeNA伊勢から左翼線を破る逆転の適時三塁打をマークした。この回一挙5得点の猛攻を締めくくる殊勲打。V逸から一夜明けて本拠地で鬱憤(うっぷん)を晴らすような終盤の逆転劇だ。さあ、10月12日からCSファーストステージが始まる。甲子園が下克上の出発点だ。
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大きなストライドで三塁へ走った。最後はヘッドスライディング。ヘルメットが脱げた。それも気にしない。立ち上がると両手をバシッとたたいた。その目は死んでいなかった。佐藤輝が試合をひっくり返した。
「一振りで決めるという思いで打席に向かいました。つないでもらったチャンスだったので、なんとかものにできてよかったです」
4点ビハインドの7回に甲子園の空気が変わった。糸原の適時打、近本の犠飛、大山の適時打で1点差。なおも2死一、二塁で伊勢の外角134キロフォークを流し打った。左翼への逆転2点適時三塁打。気迫も見せ「その気持ちは始まった時から今も変わらずにやってるつもりです」。燃えに燃えていた。V打で3試合連続安打としレギュラーシーズンの2位が確定。CSファーストステージの本拠地甲子園開催を決めた。
前日28日。V逸でリーグ連覇はならなかった。試合後、神宮の三塁側ベンチからクラブハウスへの帰り道。激励が飛んだ。「テル~! 頑張れよ!」。無数の声が胸に響いた。「本当にありがたいです」。スタンドを見渡し、そう言った。いつもは夢を託される立場。だが夢破れた夜は違った。前を向かせてくれたのは虎党からの声援だった。ショックがないわけがない。だからこそ身に染みるものもある。
昨年の日本シリーズを制した時には、あらためて実感したこともあった。「日に日に声援が大きくなっていて、声も戦力になることをあらためて感じました」。この日のお立ち台で「最高の歓声」と表現した虎党の声を味方にCSも戦える。特大戦力を背に、下克上日本一へ進むことができる。これが何より大きい。
CSファーストステージでぶつかる可能性のあるDeNAとの“前哨戦”を制したことにも意味がある。岡田監督は「まだシーズンはありますけど、これからまだ1カ月ぐらいは野球をしたいと思うので、いい準備をして臨みたい」と虎視眈々(たんたん)。30日はレギュラーシーズンの甲子園ラストゲーム。佐藤輝は「今できるベストをやっていきたい」と決意を込めた。泥だらけの背番号8が、リスタートへ前を向いた虎の象徴だ。【中野椋】



