阪神岩崎優投手(34)が「グッチ魂」を胸に日本一ロードを歩む。29日、原口文仁内野手(33)の今季限りでの現役引退が球団から発表された。左腕は同日に自主練習のため甲子園を訪れ、同学年の仲間を「努力の男。気持ちが強い選手」と熱く表現。育成選手への“降格”や大腸がんからはい上がってきた「不屈の闘志」を見習い、2年ぶりの日本一へ戦い抜く覚悟だ。
◇ ◇ ◇
原口について問われると、思いがあふれ出た。こみ上げる寂しさとともに、岩崎は一緒に戦ってきた日々を静かに思い返した。
「努力の男です。内に秘めたものもありながら、時にはそれを表に出して、そういう選手じゃないですか。気持ちが強い選手です」
その闘志に何度、勇気づけられてきたことか。今度はチーム全員が「グッチ魂」を表現する番だ。
「たとえば、昨日みたいにうまくいかなかった時はちょっと気持ちが落ちることもあるんですけど、やっぱり日が変わったら次に向けて、前向きに新しい戦いに向けてやっていきます。できない人がいることも考えたら、そういうことは思っちゃいけない」
前日28日の甲子園中日戦。1点リードの9回に登板し、連打から逆転を許して途中降板した。それでも前を向く。「当たり前に試合に投げられたりしているけれど、そういうことをかみしめながら現役の間はやらなきゃいけない」。次に待つ日本一への戦いも、決して簡単な道のりではない。下を向かず、最後まで戦う。盟友の決断に触れ、左腕は決意を新たにした。
前夜、同学年のグループラインで原口本人から現役引退の報告を受けた。「驚いたのと、寂しさみたいなものはもちろんありますよね…」。定期的に同学年会を開催してきた岩貞、梅野ら「91年世代」には絆がある。「みんな仲良しです。またゆっくり話そうという感じでいったん終わって」。次々に思い出がよみがえってくる。
「いろいろな方が知っていると思いますけど、すごく努力をしてきたやつなので。病気と戦っていた時もありましたし、復帰して、力をもらうこともありました。その努力。ひたむきに。それが印象深いです」
度重なるケガで13年から育成選手となるも、16年4月に支配下復帰。19年1月には大腸がんを宣告され、手術とリハビリを経て同年6月にグラウンドに戻ってきた。幾度の困難に立ち向かった「不屈の闘志」を、次はチーム全員で受け継いでいく必要がある。
10月2日ヤクルト戦(甲子園)では引退セレモニーが行われる予定。ともに戦えるのは今年がラストになる。仲間の思いはただ1つ。2年前と同じように、一緒に日本一の景色を見たい。【磯綾乃】
◆阪神原口の同期&同学年「91年世代」 09年ドラフト6位で入団した原口は、昨年引退した同4位の秋山と同年2人だけの高卒同期で絆は深い。その4年後の13年ドラフトでは、同学年となる4人が大卒入団。1位岩貞、4位梅野、6位岩崎がおり、3位の陽川は22年オフに西武に移籍し昨年限りで引退した。また20年オフにはソフトバンクから同学年の加治屋(現楽天)が加入し、「91年世代」は“一大勢力”だった。



