西武の佐藤爽投手(23)がプロ初登板初先発で初勝利を挙げた。育成契約出身の選手としては球団史上初の快挙となる。7回9奪三振無失点。ロッテの人気アイスクリーム「爽」のごとく、爽やかにロッテ打線を冷え込ませた。
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佐藤爽は細い糸をたぐり寄せ、プロ野球の舞台で投げた。24年シーズン、北海道・星槎道都大の左腕はドラフト戦線を騒がせるほどの投手ではなく、身長も178センチほど。球速も140キロ台前半から中盤。調査書が届いたのは2球団。西武以外の1球団は指名の現実性が薄かった。
「自分、プロ志望届を出した時点で、社会人野球や独立リーグは考えていなかったです。社会人野球がダメなわけじゃなくて、もし野球を続けるなら最高峰の場所でやりたくて」
担当スカウトの水沢英樹氏(56=現国際・育成コーディネーター)は「今の主流のタイプじゃない。でもムダのないフォームから制球が抜群。これだけで十分でした」とほれた。150キロ台が主流の令和球界。それでも西武は佐藤爽を選んだ。広池浩司球団本部長(52)が明かす。「昔はよく『コントロールは投げ込めばついてくる』と言われましたし。でも実は、もともとコントロールがあった方が実はいいよね、後からつきづらいよねと、私たちは考え直しました」。
考え直しました-。白熱の議論が想像される。育成4位でギリギリのプロ入り。もし西武からの指名がなければ。「ドラフト指名がなければ、父親の仕事を手伝っていました。決めてました」と佐藤爽は明かす。男手1つで3きょうだいを育ててくれた父恵介さんはこの日、北海道から上京。長男の立派な仕事を見届け、ウイニングボールの行き先が自分と知った。【金子真仁】
◆佐藤爽(さとう・そう)2003年(平15)2月9日、北海道生まれ。小学1年から野球を始める。中学時代は札幌豊平ボーイズ所属。札幌山の手では甲子園出場なし。星槎道都大に進み、4年春のリーグ戦でMVP獲得。24年育成ドラフト4位で西武入り。1年目の昨年は2軍で9試合登板して4勝1敗、防御率2・05。26年4月30日に支配下選手に昇格した。178センチ、82キロ。左投げ左打ち。影響を受けた選手はヤクルト石川。



