<ソフトバンク0-3オリックス>◇8日◇福岡ヤフードーム

 今季限りで現役を引退するソフトバンク小久保裕紀内野手が、41歳の誕生日を迎えたこの日、引退試合に臨んだ。6月に2000安打も達成したスラッガーは「追い求めることで成長がある。現役選手として理想を描くことができなくなりました」と、19年間のプロ人生に幕を引く理由を語った。

 オリックスとのレギュラーシーズン最終戦で、これまで何度も本塁打を運んだ左中間席の最前列からは、女手一つで小久保を育てた母の利子さんが声援を送った。利子さんは「しっかりと目に焼き付けました」と感慨に浸った。

 王貞治球団会長から花束を受け取ると小久保は号泣。同会長は「彼の生きざまは素晴らしかった」と賛辞を贈った。

 この日は3打数無安打。チームもノーヒットノーランを喫する予想外の展開だった。しかし3万8561人の観客は、万雷の拍手で小久保の“卒業”を祝った。

 まだ13日からのクライマックスシリーズを勝ち抜けば、日本シリーズで再び本拠地に戻ってくることができる。小久保は「このユニホームを着てプレーすることを目標に戦ってきます」と最後の誓いを立てた。