日本球界初の「女性オーナー」が誕生する。来年4月開幕の関西独立リーグは5日、大阪市内で会見を開き、同リーグに所属の「神戸ベースボール倶楽部」オーナーに、サン神戸ウォーターサプライ社の女性社長・広田和代さん(47)が就任することを発表した。地域密着で底辺拡大を目指す同リーグ顧問の元オリックス監督・石毛宏典氏(51)も「関西は野球のレベルが高いし、女性の視点で新たな開拓を期待している」とエールを送った。

 関西を舞台に来春スタートする独立リーグに、女性オーナー誕生だ。この日、同リーグに所属する「大阪」「神戸・阪神」「明石・姫路播州」「和歌山」に加え、参入予定の「滋賀」の5球団に就任する球団代表がそろって会見に臨んだ。その中に意欲的な女性がひとり。、神戸を本拠にするチームの代表を務めることになった広田さんだった。

 ミネラルウオーターを製造販売する「サン神戸ウオーターサプライ社」の女性社長で、独立リーグの理念となる地域密着、社会貢献に賛同したことで球団経営に携わることを決断。オリックスのファンクラブ会員だった3人の娘にも後押しされての参画で「娘がソフトボールをしていたからチームでプレーすることの素晴らしさは知っています。家族で楽しめるチーム作りで、神戸を元気にしたい」と所信表明した。

 同リーグを支援するインターネットメディア事業ステラ社の中村明代表取締役(47)と同級生の間柄でもある広田さんは、中小企業の経営者としても「険しい道に入ってしまったと思っているが、お客さまが喜ぶことをやっていけば採算ベースにも乗るはずです」と収支の見込みについても自信を示した。

 米大で初の女性オーナーとなった名門レッズのマージ・ショット(故人)の球団運営ぶりは有名。関西独立リーグ顧問の石毛氏も「メジャーにも女性オーナーはいた。広田さんは関西の商売人としてソロバン勘定のできる人だし、経営者としての計算があるはず。あとはこちらがどうサポートできるかだと思う」と太鼓判。アマチュア選手の受け皿、プロ選手の供給源を目的とする独立リーグは、シビアな経営視点に女性の華やかで味付けされながら、すそ野を広げていく。【寺尾博和】