NPB(日本プロ野球組織)の実行委員会、オーナー会議が18日に都内で行われ、第12代コミッショナーとして前駐米大使の加藤良三氏(66)を選任、7月1日付の就任が正式に決まった。任期は3年。6月末で退任する根来泰周コミッショナー代行(75)に代わり、球界のリーダーを任される加藤氏は「現代の楽しみは野球だけでなく、国際化の問題もある。そうした中でプロ野球が敗者になってはいけない」と意気込みを語った。

 外務官僚となる以前から野球に深くかかわってきた。中学生だった55年、父にプレゼントされたのが当時現役だった川上哲治氏(88=日刊スポーツ評論家)のサイン入りバット。「それ以来バットを抱いて寝ました」。外務省での43年のキャリアでもたびたび野球に支えられた。01年から6年7カ月の駐米大使在任中もブッシュ大統領らと相対する中で「野球の話から入ると仕事もやりやすかった。大変助けられた」と愛着をより深めた。問題が山積する球界を束ねるのは容易でないが「どこかでお返しをした方がいいと思った」と決意しての就任だった。

 10月の協約改正でコミッショナーにはより強い権限が与えられる。司法的立場から行政的立場へ、つまり紛争の仲裁だけでなく常にプロ野球界のかじ取りを担うことになる。国際化の流れの中で、米国および米国球界に精通する加藤氏への期待は大きい。テロ対策における主体的な対米協力などの実績で知られる加藤氏が、新たなフィールドである野球界でも「米国にモノが言える」リーダーとしてらつ腕を振るう。【大塚仁】