中日落合博満監督(54)が、名手「アライバ」コンビにカツを入れた。レギュラーシーズン最後の12日阪神戦(スカイマーク)を前にした11日、ナゴヤドームで全体練習を行った。落合監督は外野へのシートノックで、中継に入る荒木雅博内野手(31)と井端弘和内野手(33)の動きに声を荒らげて注文をつけた。18日からのクライマックスシリーズ(CS)で戦う阪神との「前哨戦」を前にカミナリを落とし、チームを引き締めた。

 落合監督が珍しく語気を強めて怒った。シートノックで中堅からの本塁に送球する場面。プレーをストップして、マウンドまで歩きながら中継に入った荒木と井端に叫んだ。「(試合で)じっと立ってることなんてありえないだろ!」。思わぬけんまくに、グラウンド上は凍り付いた。

 落合監督が問題視したのは中継の位置だった。センターからの本塁送球時、本来は一塁手ウッズが中継に入るところだが、すでに39歳と動きに限界がある。そのために荒木か井端がカットに入っている。広い守備範囲を誇る荒木は中堅にノックが飛ぶと、カットに備えて走り、マウンド上で送球を待っていた。しかし試合では二遊間への打球を追う必要があるため、マウンドまで到達することは難しい。落合監督は二塁ベースとマウンドの中間地点を指さして「(試合では)そこまでが目いっぱいだ」と指摘した。わずかな気のゆるみではあるが〝練習のための練習〟を許さず「アライバ」に容赦なく注文をつけた。荒木は指揮官の指摘に「言われると思っていました」と素直に反省した。

 厳しい注文は、CSでのリベンジのためだ。阪神とは18日からの第1ステージで対戦する。今季は6勝16敗1分けと大きく負け越した。しかし指揮官は「阪神には守り負けしたんだ。打ち負けたわけじゃない。守りがしっかりすれば、何とかなるよ」と分析している。阪神を突破するためには「守り勝つ野球」という原点に回帰する必要がある。この日「今日は休みだ」と話した落合監督が、阪神との前哨戦を前に「アライバ」を通じて、チームにカツを入れた。【益田一弘】