ノリよ、楽天の「ON」になれ!

 楽天野村克也監督(73)が30日、球団初のFA獲得選手となった中村紀洋内野手(35)と初対面し、巨人V9時代を支えた王、長嶋のようなチームの支柱となることを求めた。この日、仙台市の大崎八幡宮で必勝祈願を行い、中村紀は「いよいよ始まるという気がしました」と引き締まった表情で話した。

 短い言葉に期待のすべてを込めた。野村監督が初対面した中村紀にかけた言葉は、「まあ、頑張ってくれよ」のひと言。それでも中村紀は真意を感じ取った。「若い選手の見本になれるようにしたい」と、厳しい表情を崩さなかった。球団初のクライマックスシリーズ進出のキーマン。その自覚が、自然と言葉を選ばせた。

 単なる戦力以上の役割が待っている。野村監督は「中心がしっかりしていると機能性が向上する。V9の巨人は王と長嶋がいたからな。王と長嶋が率先してやったから、若手は手が抜けなかったんだよ。あのころの巨人が理想のチームだよ」と、中村紀にONのような存在感を期待した。これまではベテラン山崎武がまとめ役を務めてきた。2人が絶対的な存在となることが、チームの成長にもつながってくる。

 タッグを組む山崎武も気合は十分だ。「ノリはおれより実績は上。1年目とはいえ、チームとしてどうやって勝てるかを考えないといけない。おれもノリに負担をかけないようにしないとね」と共闘を誓った。山崎武はハワイでの自主トレで6キロの減量に成功。昨季は指名打者での出場がほとんどだったが、キャンプでは積極的に一塁守備の練習に取り組む。

 31日には久米島へ出発し、2月1日からキャンプがスタート。中村紀、山崎武ともに2軍でマイペース調整で始動する。地味な基礎練習に取り組む姿も、若手にとっては刺激と手本になる。中村紀は「2軍スタート?

 少しでも早く1軍に上がれるようにします」。球団節目の創設5年目で、野村監督の契約も最後のシーズン。ノリが柱としてしっかり立てば、悲願のAクラス入りへの土台はできていく。【小松正明】

 [2009年1月31日8時42分

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