<巨人6-4広島>◇4日◇旭川
巨人が亀井義行外野手(27)のサヨナラ15号2ランで、広島との北海道シリーズ初戦を制した。亀井は2-4と敗戦目前の9回1死に起死回生の同点14号2ラン。延長11回も自分のバットで決めた。4回には相手守備陣のスキを逃さず、盗塁から一気に本塁生還。4打点、3得点と1人で試合を決めた。チームは5カードぶりに対戦初戦を奪取。混戦に断を下すのは、8月3本塁打と絶好調の亀井だ。2位中日が阪神に快勝し、1・5ゲーム差のままだ。
亀井がけれん味なく振ったバットから放たれた放物線が、北の大地の澄んだ青空と溶け合い美しかった。延長11回1死二塁、カウント0-2から横山の甘く入ったスライダーを逃さなかった。3日前に甲子園でランニング本塁打を放ったばかり。今度はゆっくりダイヤモンドを回り、仲間に身を委ねた。「悔いないスイングをしようと思ってました。中日とか関係ない。1戦1戦です」。巨人の5番に定着した男は、今季2本目のサヨナラ本塁打直後にも先を見据える風格があった。
敗色濃厚の試合で孤軍奮闘し、最後に白星まで運んだ。4回、盗塁から相手外野手の緩慢な守備を見逃さず、本塁まで陥れた。「スキを逃さないのが仕事。全く走れない選手じゃないんで、ボク」としてやったりだった。9回1死には同点2ラン。そしてサヨナラ2ラン。旭川のファンは亀井の強烈な個性と底力に驚き、やまない拍手でお立ち台に魅入った。
チームを救った背番号9について、原監督はこう言った。「カメが1人で気を吐いた。堂々と戦っている姿が頼もしい。劣勢をはね返した大きな勝利だ」。この日の亀井には、プロ野球選手に求める理想像があった。
旭川入りした3日、原監督は北海道の名所・旭山動物園への訪問を思い立った。バスガイドから入念に情報を収集。夏休みの家族連れに「なぜここに?」と驚かれた。混雑の中、行動観察の展示を売り物とする館内をくまなく回った。監督はWBC決勝ラウンドの直前にもサンディエゴ動物園に足を運んでいる。「動物園が好きなんだよねぇ」。愛くるしい姿に癒やされるのはもちろんだが、動物たちから学んだある哲学がある。
シロクマ、ゾウ、ペンギンにゴリラ。まったく異なる個性の集合体が動物園で、多くの人を魅了する。野球のチームも本質的に変わらないと感じている。
原監督
優秀で強烈な『個』の集合体が、本当に強いチームと思う。元来プロ野球選手は個人事業主で、局面の勝負は個人対個人なんだから。WBCで、それは確信に変わったね。
スタルヒン球場をオン・ステージに変えた巨人のカメ。集団競技の根底に流れるのは究極の個人主義だ。この日亀井が体現したように、勝負の8月を制す原動力になる。
【宮下敬至】
[2009年8月5日8時43分
紙面から]ソーシャルブックマーク



