プロ野球界に衝撃が走った。オリックス小瀬浩之外野手(24)が5日午前11時37分、春季キャンプでチームが宿泊する沖縄・宮古島市内のホテル敷地内で転落死しているのが見つかった。ホテルの従業員が発見し、119番通報。救急隊が駆けつけた時には、死亡していた。地元宮古島警察署は事件性はなく、飛び降り自殺した可能性が高いとみて調べている。小瀬選手は左の俊足巧打で「イチロー2世」の呼び声が高かった若手有望株だった。

 プロ野球のキャンプ中に選手が死亡する衝撃の事件が起きた。オリックスが宿泊するホテルの従業員が5日午前11時37分、「男性が血を流して倒れている」と消防へ通報。到着した救急隊が2階部分の屋根で、あおむけの状態で血を流している小瀬選手を発見、死亡を確認した。靴は履いていなかったという。

 現場に向かった宮古島市消防本部上野出張所の担当者は「到着時には呼吸、意識がなく、死後硬直していた。特に後頭部のケガが激しかった」と話した。現場検証した宮古島警察署は「今のところ事件性はない」と判断。11階建てホテルの上階から飛び降り自殺した可能性が高いとみて、詳しい状況を調べている。

 この日は春季キャンプ最初のオフだったが、午後3時すぎに岡田監督、横田管理部長、小瀬選手と関係が深かった北川、大引、迎の3選手が、警察で事情を聴かれた。6日には由紀子夫人、父親ら遺族が宮古島に入り、警察から説明を受ける。岡田監督らがホテルに戻った午後4時から緊急ミーティング。長村編成部長らが「転落死」の事実と警察の調査が続いていることを伝えた。会場を出てきた選手の中には、目を赤くするものもいた。

 球団では村山球団本部長が急きょ大阪から宮古島に駆けつけ、午後8時から緊急会見を開いた。「一緒にやってきた仲間を失い、何を申し上げていいか分からない。頭の中が真っ白」とうつむいた。自殺か事故か、遺書の有無など詳細には、遺族が到着していないことや警察で調査中を理由に明言を避けたが、「若くて将来を有望視されていただけに、大変、残念な気持ちです」と肩を落とした。

 前日4日、小瀬選手は普段通りに練習に参加し、精力的に特打もこなしていた。一方で、トレーニング室では元気がなく、帰りのバスでは頭からタオルをかぶり、座席に身を沈めている姿が目撃されている。激励のため球場を訪れた旧知の人物が声をかけた時も、暗い表情だったという。

 08年に大学・社会人ドラフト3巡目指名で入団し3年目。昨年は外野の準レギュラーで78試合に出場、打率3割3厘だった。昨年1月にマリナーズ・イチローと合同自主トレした際には「天才肌」とセンスを認められ、「愛すべきキャラ。僕は好きなタイプ。スッとぼけているし、どんな舞台でもできそう。名前もホゼにすればいい」と太鼓判を押されていた。今季は前カブスの田口の加入で外野の定位置争いは激しくなっていたが、右翼のレギュラー候補だった。

 08年12月に由紀子夫人と婚姻届を提出し、昨年12月に挙式したばかりだった。将来を嘱望された24歳の早すぎる死。岡田新監督を迎えた新生オリックスが、驚きと悲しみに包まれた。

 [2010年2月6日17時15分

 紙面から]ソーシャルブックマーク