阪神マット・マートン外野手(28)の「センター特訓」が始まった。13日の練習試合・日本ハム戦(宜野座)に「1番中堅」で実戦デビュー。気になる守備では、未経験のポジションだけに、打球の判断の遅れが目立った。それでも首脳陣は今後もセンターで起用する方針だ。14日の同カードにも出場する予定で、紅白戦やオープン戦など実地の猛特訓を重ねて、「ポスト赤星」の道を歩むことになる。

 「ポスト赤星」の道は険しくて長い。マートンの「1番中堅」での実戦デビューは打撃より、守備に注目が集まった。助っ人では異例の展開。周囲が思わず唾を飲み込んだのは、3回表。先頭打者・大野がセンターに打ち上がった。

 まず後ろに下がったが、浅い飛球に気づき、猛然と前進。何とかキャッチしたが、未経験のポジションで不安たっぷりだった。「もちろん、時間はかかる。レフトもライトも何試合か、かかった。キャンプのうちに慣れて、できるようになれれば…」。試合後はいら立ちを見せることなく、冷静に話した。

 「センター猛特訓」の開始だ。3回の守備以外にも、右、左中間への打球に反応できない場面が目立った。しかしこれも首脳陣にとっては折り込み済み。不慣れを承知で任せるからだ。真弓監督は「センターの経験はないが、数多く練習試合やオープン戦をこなしていってもらって、対応してもらうことになる」と見通しを明かした。紅白戦も含め、徹底的に実戦で特訓させる方針が固まった。14日の日本ハム戦は当初、指名打者で出場予定だったが、柴田が負傷したことで守備に就く可能性が浮上した。まさに突貫の猛特訓で、開幕を目指すことになる。

 超がつく真面目な助っ人は、現実を受け止めている。試合後に2人で反省会をした山脇守備走塁コーチは「バックアップや守備位置の話をした。これからもセンターで使っていく予定」と話した。右翼には主砲への成長が期待される桜井がおり、マートンが中堅で成功すれば、大きな戦力アップとなる。打撃は初回の見逃し三振を含め、3打数ノーヒット。「結果はね…。でも打席に立つにつれて、適応できたと思う」。攻守で平凡なデビューとなったが、前向きな姿勢は失わなかった。

 [2010年2月14日12時27分

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