<巨人2-6中日>◇18日◇静岡

 巨人西村健太朗投手(24)が開幕ローテーション入りへ前進した。先発し、5回4安打1失点(自責0)と好投。昨季から習得に取り組んできたチェンジアップを多投するなど、先発仕様の投球スタイルを披露した。首脳陣から確定の声こそ出なかったが、好アピールを見せた。

 巨人西村健は1球1球に先発への思いを込めた。76年前、伝説の投手・沢村栄治(巨人)が、大リーグ選抜相手に快投を演じた静岡・草薙球場で5回4安打1失点(自責0)。開幕ローテ入りへ、また1つ階段を上った。試合後は重圧から解放され「粘り強く投げられた」と少しだけ表情を緩めた。

 新たなスタイルを見せた。西武岸から教わったチェンジアップを多投。3回1死二、三塁では、4球連続チェンジアップで森野を二飛に打ち取った。100キロ台のカーブも織り交ぜ、緩急を有効に利用。シュート、直球に頼るスタイルから進化した姿を見せた。「抑えることができたのは自信になります」と新スタイルに手応えを得た。

 昨年6月、野球人生で最大の決断を下した。慢性的に痛みを感じてきた右ひじを手術した。迷い続けた末のメス。最後に背中を押してくれたのは妻央子さん(29)の「どういう決断を下しても、尊重するから。後悔しないように決めて」という言葉だった。胸のつかえがスッと消えた。「嫁の言葉がなかったら、今の自分はないかも」。アリゾナ、ハワイ自主トレを経て、先発型の体をつくりあげてきた。過酷な走り込みで体重は92キロから5キロ減った。

 現在、開幕ローテーションは内海、ゴンザレス、東野、藤井が確定。先発転向の山口も有力で残る枠は実質1つだった。久保、福田もオープン戦登板を控えており、その結果を踏まえて最終決定となりそうだ。10年版の先発ローテの完成は間近だ。【久保賢吾】

 [2010年3月19日9時14分

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