<横浜7-3阪神>◇17日◇横浜

 4番のアニキが万全でないなら、オレたちが…。阪神の3番鳥谷敬内野手(28)、5番新井貴浩内野手(33)の主軸コンビが、1発攻勢で意地を見せた。新井が2点を追う4回、バックスクリーン左へ反撃の3号ソロ。鳥谷は3点を追う8回、2号2ランを右翼スタンドへたたき込んだ。その裏突き放されて痛い連敗となったが、AT砲の破壊力は相変わらず。つながりが生まれるまで、打って、打って、活路を開く。

 打撃不調のアニキを、全員野球でカバーする。その思いが、他の誰よりも強いのだろう。金本とともにクリーンアップを形成する3番鳥谷、5番新井がチームの全得点をたたき出した。

 先陣を切ったのは、広島時代からの弟分でもある新井だ。2点を追う4回。横浜先発清水にフルカウントと追い込まれながらも、力勝負にきた低めの142キロに体勢を崩されながら左中間席へと運び去った。「うまく打てたけど、風にもよく乗ってくれた」。自身3試合ぶりの3号ソロで、1点差に詰め寄った。

 そして8回。最後まであきらめない姿勢を体現したのが、3番鳥谷だ。ビハインドは3点で、横浜は7回6安打1失点と好投していた先発清水に代えてセットアッパー牛田を投入。逃げ切り態勢に入られたところを、食らいついた。1ボールからの2球目。真ん中よりの143キロ直球を完ぺきにとらえると、白球はナインの思いを乗せたまま、右翼席へと着弾した。

 「前の打席で凡退していたので、あそこは何とか打ちたかった。しっかり打ててよかったです」。鳥谷が振り返ったのは、1点を追う5回1死二塁の場面。高めの球に手を出して二ゴロに倒れ、得点に結びつけられなかった。それだけに、こちらも新井に負けじと自身3試合ぶりとなる意地の2号2ランを放ち、再び1点差に詰めた。

 8回裏に中継ぎ陣が打ち込まれ、新井、鳥谷の1発も空砲に終わったが、調子の上がらない4番金本の負担を減らすにはATコンビが奮起するしかない。今年の2月。金本の後ろを打つ新井は言っていた。「金本さんだけにマークが集中しないようにしないといけない。今年も間違いなく、金本さんの後ろを打つ打者が重要になるし、今年こそは自分が頑張らないと。『点』ではなく、しっかりと『線』になった打線にならないとね」。

 約束通り、新井はこれで11試合連続出塁と打線の「つなぎ役」となって、打線をけん引。金本の前を打つ鳥谷とともに、4番の完全復調を信じて得点をたたき出し続ける。【石田泰隆】

 [2010年4月18日12時4分

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