<阪神3-1中日>◇24日◇甲子園

 これが4番のプライドや。阪神新井貴浩内野手(33)が、中日戦で決勝打&ダメ押し打をたたき出した。初回、バルデスに死球を受けた怒りを胸に秘め、6回に勝ち越し適時打、8回に中越えのダメ押しタイムリー。金本が先発を外れる中、主軸の責任を受け止め、中日戦2連勝を呼び込んだ。貯金は今季最多タイの3となった。

 新井が鬼の形相で、仁王立ちした。1回2死二塁の第1打席。左腕付近に死球を受け、打席付近でマウンドのバルデスをにらみつけたまま動かない。ふだんは怒りを表に出さないタイプだが、この日ばかりは違う。一触即発ムードの中、沸き上がる感情をグッとこらえて一塁に歩き出した。

 闘争本能に火がついたのは、4番のプライドゆえだ。広島時代から兄貴と慕う金本が18日からスタメンを外れ、代役4番を務めてきた。主砲への厳しい内角攻めは常とう手段と承知してはいる。「そういうのは(多く)なってくると思う。それをしっかり見極めて、自分のスイングをすることが大事」。試合後は冷静になったが、なめられるわけにはいかなかった。

 抑えた怒りをバットに乗せた。同点の6回1死三塁の好機。「前の回のピンチを能見が抑えた。何とか勝ち越し点をと思って打席に入った」。日増しに強くなる4番としての責任感が、新井を積極策へと導く。初球。外角へ逃げるスライダーをとらえた。打球は強烈なライナーで中前へ。今季自身初となる初球安打で、勝ち越した。ベンチもスタンドもお祭り騒ぎとなる中、打った本人は表情を崩さない。責任を果たしただけ。無言のオーラが、塁上の新井を包み込んでいた。

 今年2月のキャンプ。新井は阪神の覇権奪回には「5番の働き」が必要不可欠であることを挙げた。理由は単純明快。金本の後ろを打つ打者の働きが、チーム浮沈のカギを握るからだ。だが、金本は右肩痛で先発から外れている。ならばせめて、代役の自分が4番としての振る舞いを演じなければならない。そう肝に銘じているのだろう。

 それは2日連続で上がったお立ち台でも、見てとれた。「(好機で打てて)ホッとしましたよ。いつも通り集中して、走者を返すことだけを考えてましたから」。決勝打を振り返ったが、そろってお立ち台に上がった大和に目を向けることも忘れなかった。「一生懸命にプレーする姿が伝わってきます」。4万人以上のファンを前に持ち上げられれば、伸び盛りの若手にとってこれ以上の喜びはない。それをわかった上でのコメントは、阪神の4番としてチームをけん引してきた金本の姿と重なった。

 8回にも適時二塁打で貴重な追加点をたたき出した。これで4番に入って走者を置いた場面では、5打数連続安打と勢いは止まらない。名古屋で3連敗した中日に、これで2連勝。真弓監督は「明日の試合でやり返したい。全力で勝ちに行きます」と宣言した。新井が中心となる新打線できっちりお返しする。【石田泰隆】

 [2010年4月25日12時5分

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