<巨人2-8阪神>◇3日◇東京ドーム

 阪神が2日と全く同じ逆転劇で首位巨人を射程圏にとらえた。1点を追う4回無死一塁で、クレイグ・ブラゼル内野手(30)がリーグ単独トップとなる右越え28号2ランで逆転した。さらに鳥谷敬内野手(29)が右越え3ランで突き放した。巨人に5連勝で、すべて逆転勝ちは球団史上初になる。破壊力抜群の猛虎打線に支えられ、約2カ月ぶりに巨人に2ゲーム差まで迫った。

 前日の再現のようだった。1点を追う4回。ブラゼルが打席に入った。カウント1-0からの2球目。肩口から入ってきた藤井のすっぽ抜けのスライダーを強振した。グングンと一向にスピードが緩むことのない打球は東京ドームの天井に2度当たり、グラウンドに落下することなく右中間席中段に飛び込んだ。「ルーフ(屋根)、フール」と顔を紅潮させたまま、ベンチでナインに向かって絶叫した。2日連続の逆転2ランとなった。

 球場の天井に当たる飛球は、昨年も京セラドーム大阪で経験済みだが、打球が失速することなくスタンドまで届いたのは今回が初めて。「打った感触がよかったから行くとは思ったけど、まさか天井に当たって入るとは」と本人も驚く衝撃的な1発だった。

 さらに鳥谷も続いた。2死一、二塁。2球で追い込まれた後の5球目をたたいた。「追い込まれていたんで、球種に関係なく何でもいこうと、食らいついていきました」。外寄りスライダーをバックスクリーンの右に運んだ。9回にダメ押し2ランを放った前日同様、巨人を突き放す9号本塁打となった。三塁側ベンチ前では大和、藤川俊と3人で両手の人さし指、中指を突き上げる。米子遠征で若手と食事した際に考えたポーズも初披露した。

 うれしい知らせが届いていた。前日2日の午後、兵庫県芦屋市内の病院で第3子となる長女を授かった。写メールで2628グラムの愛娘を目に焼きつけた。「まだ生まれたばかりですから。子供は関係ないですよ。チームが勝ってくれたら十分です」。そう話す表情はもちろん笑顔だった。

 負けないはずだ。これでブラゼルが巨人戦で本塁打を打てば昨年から6戦全勝で、西武時代を含めれば7戦まで伸びる。さらに鳥谷も07年から13連勝とダブル不敗神話を継続している。鳥谷は「ホームランを打てる打者が多いから、点差が開いていても、まだまだいけるという感じになる」と話す。40勝に到達し、今季最多の貯金10。07年9月以来となる巨人戦6連勝ならゲーム差は1となる。

 [2010年7月4日9時4分

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