<楽天3-9西武>◇10日◇Kスタ宮城

 パワフルな投球フォームも、ストッキングをたくし上げたオールドスタイルの着こなしも、「楽天藪」は何も変わっていなかった。藪恵壹投手(41)が、ファームで2試合の調整登板を経て、1年ぶりに勝負の場所に戻ってきた。精悍(せいかん)に日焼けした顔が、大きく、ぎらついた目を際立たせた。くちびるをギュッとかみ、5点リードされた7回、西武が誇る上位打線に挑んだ。

 手元でボールを微妙に動かし、最速は149キロだった。だが、制球に苦しんだ。中島に対してはフォークボールが抜け、頭部付近に際どい球がいった。それでも堂々としていた。日米通算91勝を挙げ、テストを経て入団した41歳。「力みはなかった。申し訳ないです。次、頑張ります」と潔かった。被安打、与四死球ともに3。1/3回、4失点が、6年ぶりの日本球界復帰登板だった。

 ロッテのテストに漏れた時点で、米田球団代表は藪に着目していた。「巻き返す上で、救世主が欲しい。投球だけじゃない。彼の経験や姿勢がチームにとって財産にもなるはずだから」と獲得へ意欲を見せ即刻動いた。いきなり結果こそ出なかったが、その狙いは当たった。試合前、丁寧に仲間とあいさつし、最後までグラウンドに残り練習。小山は「ダッシュ1本も無駄にしていない。練習から、野球がやりたくてウズウズしている感じが充満していた」。投球に飢え、米国-メキシコ-米国と渡り、杜(もり)の都までたどり着いた男。今までと変わらず、逆境から巻き返す。藪らしい船出だ。【宮下敬至】

 [2010年8月11日11時57分

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