<阪神4-6巨人>◇19日◇甲子園

 3位の巨人が電光石火の猛攻でV争いに踏みとどまった。1ゲーム差で追う2位阪神との3連戦の第2ラウンド。18日に完封負けした打線が1回に奮起した。2死一、二塁から阿部慎之助捕手(31)が左中間を破る2点適時二塁打を放ち先制。この主将の一打を皮切りに、4連打と打線がつながり一挙5点を奪った。2回にも1点を加えるとその後は必死の継投でリードを守り、阪神にゲーム差なしと肉薄した。

 浜風に乗り、阿部の打球はグングン伸びた。1回2死一、二塁。阪神メッセンジャーの外寄り直球をとらえた。左翼マートンが必死に腕を伸ばしたが、その上を越えた。先制の2点二塁打。「みんな、つなぐ気持ちだった」とチーム11イニングぶりの得点を喜んだ。

 大事な3連戦の頭を落とし、迎えた2戦目。優勝戦線に踏みとどまるには、絶対に負けられなかった。1回、坂本、松本の1、2番コンビが無死一、二塁を作ったが、小笠原、ラミレスが凡退。いきなりの好機をふいには出来なかった。阿部の後も3連打し、計9人で6安打5得点。3回以降は追加点を奪えず、最終的には2点差まで詰められた。大きな先制攻撃だった。

 そこには、王者のプライドが詰まっていた。18日は能見に7回無得点と封じ込まれての完封負け。篠塚打撃コーチは「打者にとって完封負けは悔しいもの。意地がある」と代弁した。舞台裏には周到な準備があった。データ上、メッセンジャーの配球が外角に偏ることを把握。6安打のうち、阿部の先制打を含む4安打が中堅から逆方向だった。また、投手の藤井も含め全員が2ストライクまでに打ちにいった。9人も打席に立ちながら、球数は27球だけ。15分で5点を奪う電光石火の攻撃だった。同コーチは「各打者が強引にならなかった。追い込まれる前にとらえられた」と評価した。18日の借りを、正念場の舞台で返した。

 再び2位阪神とゲーム差なし。原監督は「価値ある初回でした」と褒めたが、反省も忘れなかった。1回無死一塁、松本が送りバントを失敗した。強攻策に切り替え中前打で先制につながったが、「あれは良くない。結果的に良くても、あそこはしっかり送って攻撃のリズムをつくることを望みます」と求めた。犠打失敗が響き敗れた18日に続き、この日は、1、4、8、9回と計4度、無死一塁の走者を送れなかった。逆転優勝にはスキを見せられない。

 負けられない戦いが続く。阿部は、自らの9回の犠打失敗を反省しつつ「なかなか、こういう経験は出来ない。今後の野球人生のためにもなります」と前向きだった。指揮官の苦言も糧にして、栄光の扉を開く。【古川真弥】

 [2010年9月20日9時1分

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