<ソフトバンク11-4西武>◇19日◇福岡ヤフードーム

 決めたのは、かつての3冠王、ソフトバンク松中信彦外野手(36)だった。序盤3回までに、4本塁打が乱れ飛んだ首位攻防の第2ラウンド。4-4の同点で迎えた5回。狙っていた。西武岸が投じた3球目。144キロの内角直球を、豪快にしばきあげた。打球は、大逆転Vを信じる右翼席のファンのもとへ一直線。18日に続く値千金の1発で、西武を粉砕してみせた。「(狙いは)真っすぐ1本だった。昨日、今日といい仕事ができた」とうなずいた。

 これまでの不調を取り返すには、十分すぎる2試合連発だ。負け越せばV逸が決まっていた3連戦。18日にはエース涌井から同点3ランを放ったが、この日の1発はさらに価値があった。西武ベンチが5回からマウンドに送ったのは、岸。この日復帰した右腕の中継ぎ起用は、ラストスパートへの秘策だった。その出はなをくじいた。岸から4安打2得点し、3番手以降の中継ぎ陣もめった打ち。終わってみれば16安打11得点の大勝だった。「西武に少しでもプレッシャーをかけて、僕らは勝ち続けるしかない」と、大逆転Vへ満足するはすがない。

 恵子夫人と2人の子供が観戦。現在2歳の次男は昨年、重い腎臓病であるネフローゼ症候群で生死をさまよった。「次男も調子がよくなってきたし、長男も前回の優勝を覚えてないというから」。次男の闘病中、野球に集中させるため病院に泊まり込むなどしてくれた夫人のおなかには第3子が宿る。出産予定日は10月。家族5人で、7年ぶりの美酒を味わうつもりだ。

 主砲の1発で本拠地胴上げを阻止するばかりか、首位西武に1・5ゲーム差と接近した。「信彦は、やっぱり集中力が高まってると思いますよ」と秋山監督が評するように、主砲が奇跡の大逆転Vへと導く。【倉成孝史】

 [2010年9月20日12時30分

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