<巨人4-3横浜>◇21日◇東京ドーム

 まだ死ねない!

 巨人が延長12回、坂本勇人内野手(21)の「歴史的」サヨナラアーチで優勝戦線に踏みとどまった。今季6度目のサヨナラ勝ちを決めた1発は、62年王、96年松井に並ぶ球団最年少の30号。8回にハーパーに同点3ランを浴びて延長戦に持ち込まれたが、引き分け寸前に劇的勝利を収めた。これで首位中日に敗れた2位阪神とゲーム差なしに迫り、リーグ4連覇へ望みをつないだ。

 ダイヤモンドを1周すると、大興奮の仲間たちが待っていた。ベンチから飛び出したチームメートの塊に、坂本は笑顔で突っ込んだ。ペットボトルの水をかけられた。もみくちゃにされた。ようやく人込みをかき分けると、目の前に原監督が待っていた。がっちり抱き合った。「監督、コーチ含め、みんなで1戦1戦やっている。うれしかったです」。至福の瞬間だった。

 延長12回1死、走者なし。横浜真田の外寄り144キロを左中間席中段へ放り込んだ。「完ぺきな当たりだった」。まさに歴史的1発だった。シーズン3本のサヨナラアーチは王、亀井に並ぶ球団最多タイ。1番打者の30本塁打は史上3人目。22歳での30本は王、松井に並ぶ球団最年少…。偉大な先輩に肩を並べる劇的弾は、がけっぷちにあったチームを救った。若きリーダーは、お立ち台で宣言した。

 坂本

 チーム状況は苦しいですけど、誰一人あきらめていません。ファンの皆さんも一緒に優勝目指して頑張りましょう!

 前カード阪神戦を1勝2敗と負け越し。残り試合を考えれば、首位中日との2・5ゲーム差は重い。自力優勝の可能性がない以上、逆転Vには勝ち続けるしかない。ミスをひと振りで帳消しにした。

 攻撃では、立ち上がりの好機を逃していた。1回、巨人戦初登板の田中は制球が定まっていなかった。先頭坂本に四球。だが、続く松本が高めのボール球を振り二ゴロ。進塁打にはなったが、アウトを与えたことで田中を落ち着かせ、この回0点に終わった。

 3点リードの8回には、守りのミスが出た。無死一、二塁で、久保が石川を二ゴロに仕留めたが、エドガーの一塁走者内川へのタッチが遅れ併殺を逃した。内川が帰塁の動きを見せたからだが、先に打者走者をアウトにし、次に内川を挟殺すべきだった。続くハーパーが本塁打。打者走者が残ったため、痛恨の同点3ランとなった。打たれたボールも、内に入るカーブというハーパーの得意球。防げる3失点だった。

 坂本は守りでもみせた。延長11回、2死二塁で下園の中前に抜けるかという当たりを横っ跳びで捕球。内野安打に防ぎ、勝ち越しを防いだ。原監督も「ああいう守備が(サヨナラ本塁打という)大仕事につながる」と目を細めたビッグプレー。引き分けでも、中日と3ゲーム差に離されていた。30号という節目の1発と好守で、優勝戦線脱落の危機にあったチームを救ったが、「自分の記録はシーズンが終わってから考えればいい」と素っ気なかった。理由はもちろん、頂点しか考えていないからだ。【古川真弥】

 [2010年9月22日11時46分

 紙面から]ソーシャルブックマーク