<DeNA8-3阪神>◇4日◇横浜

 DeNA中畑清監督(59)が、迷わぬ継投で勝利をつかんだ。阪神18回戦で4点リードの5回1死三塁で、勝ち投手の権利を目前とした先発加賀美を交代させた。自力でCS出場権を獲得できない状態だが、同監督は逆襲のために「迷わぬ采配」を誓っていた。有言実行でリードを守りきり、連敗を阻止。4位中日に1ゲーム差と迫り、上位進出をうかがう。

 中畑監督がベンチを出た。5点リードで迎えた5回。1点を奪われ、なお1死三塁。先発加賀美が勝ち投手の権利を得る直前だったが、迷わず大田に交代させた。「いまひとつシャキッとしない投球だったので、あえてあそこで代えた。この球場は(他と)違う感覚を持たないと大差を追いつかれるパターンになる。相手に勢いをつけさせない継投。自分の中でもけじめをつけた継投でした」。試合後、自信たっぷりに振り返った。

 迷いを断ち切った。大敗した前夜は1回にバスターエンドランのサインを失敗し「私の責任。勢いを止めてしまった」と悔しがった。勢いを止めないため、この日は投手交代を決断した。「昨日のこともある。もうウチは後がない。悔いを残すゲームはしたくない。個人の記録よりも勝利を優先させないといけない。勝ちゲームにつなげていく指揮を執っていきたい」。

 8月28日広島戦前。恒例の散歩中、コースに迷った中畑監督は自分に言い聞かせるように言った。「どっちの道に行こうか?

 あ、でもこうやって迷っているようじゃ勝てないんだよな。自分の気持ちに正直に、思った通りに戦っていくしかない。そう信じて戦っていきます!」。たかが散歩の道順ではない。迷いが勝ちを遠ざける。それを胸に深く刻んでいた。

 この日は試合前から違っていた。予定より早く球場入りしたため、散歩をしようと決めた。行き先は迷わなかった。以前から気になっていた、球場にほど近い山下公園に係留している氷川丸を見学に行った。「見るところがたくさんあるな」。迷いを断ち切って臨んだ試合だった。

 4打点の活躍を見せた金城が「今日はこっちのペースで戦えた」と言う通り、5回には中村、6回には石川、9回には梶谷が好守で中継ぎ陣をもり立てた。今日5日も勝てば、3カード連続の勝ち越しとなる。中畑監督は「また勝ち越せば、いい勢いで次の(6日からの)カープ戦に臨める。明日も一層頑張ります」と、迷わず口にした。【佐竹実】