広島のドラフト4位新人、下水流昂外野手(25=ホンダ)が、クライマックス・シリーズ(CS)ファーストステージの秘密兵器に指名された。左キラーの打撃を注目され、13日の第2戦先発が有力視される阪神のエース左腕能見への刺客として起用される可能性が出てきた。難敵攻略へ、若手の力を生かす。

 下水流にとって最大のチャンスが訪れようとしている。高チーフ兼守備走塁コーチは、CSでの下水流の起用法について「左投手のときにね。能見が投げるときとかは、あるかもしれないよ」と、先発起用する可能性をほのめかした。

 若い左キラーは意欲満々で応える。自分の役割について問われると「左投手を打つこと。いかに打てるかだと思います。もしメンバーに残れれば光栄ですし、そうなればしっかり準備して臨みたい」と目を輝かせた。マツダスタジアムで自主練習。ウエートトレなどで汗を流した。

 CSファーストステージ第2戦で先発することが見込まれる、阪神のエース左腕は難敵だ。今季は1度しか対戦していないが、完投を許し敗れた。能見攻略には右打者がキーポイントになるが、広瀬は終盤調子を落とした。助っ人エルドレッドは2年間で18打数1安打12三振と、能見を大の苦手としている。だからこそ、ルーキーに出番が巡ってきそうなのだ。

 即戦力新人としてキャンプ、オープン戦で評価を高めていたが、3月半ばに「右長内転筋損傷」で離脱し、開幕1軍を逃した。1軍に昇格したのは残り2戦となった143試合目の10月3日だった。昇格即スタメンで起用されると、プロ初安打。最終戦では代打で初タイムリーを放ち、実戦派をアピールした。これまでほとんど1軍の投手と対戦していない点でも、秘密兵器となりうる。

 能見とは2月のWBC強化試合でまみえた。一塁走者がけんせい死してチェンジになり、打つ機会はなかった。「だからよく覚えていないです」と苦笑いするが、スコアラーにVTRを依頼し、本番までに分析するつもりだ。

 若い力が短期決戦ではじければ、チームに勢いがつく。下水流が、初出場CSの起爆剤になる。【高垣誠】<下水流昂(しもずる・こう)アラカルト>

 ◆生まれ

 1988年(昭63)4月23日、神奈川県。

 ◆球歴

 横浜高3年の06年に春夏甲子園に出場し、春優勝。青学大では2度ベストナインに選ばれ、ホンダに進む。12年ドラフト4位で広島入り。

 ◆珍名

 下水流という珍しい姓は父親の出身地、鹿児島地方に多い名前という。

 ◆長野2世

 巨人長野はホンダの先輩で目標にしている選手。バットも長野モデルを使い、内田2軍監督も「長野みたいな広角に打てるスイング」と評価。

 ◆目標

 フジテレビの三田友梨佳アナウンサーは青学大時代の野球部マネジャー。プロで活躍して三田アナのインタビューを受けるのが目標のひとつ。

 ◆サイズ

 178センチ、85キロ。右投げ右打ち。