若虎よ、栄光の背番号31を奪い取れ!

 阪神の掛布雅之ゼネラルマネジャー(GM)付育成&打撃コーディネーター(DC=58)が、現役時代に背負った31番の後継者出現を願った。高知・安芸キャンプ合流3日目の4日も精力的に指導。「躍動感ある選手」「左打者の方が」と空き番号になった代名詞について、初めて理想を挙げた。

 安芸に掛布がいる。25年ぶりのユニホームだ。熱心な指導、響く声も元気がいい。連休に詰めかけたファンも喜んだ。でも、何かが物足りない。クラシックスタイルのストッキングに映えるタテジマは、ズボンだけ。上着は真っ黒なジャンパーだった。脱いでも、出てくるのはトレーニングウエア。栄光の背番号31がない。寂しい現状、そして「後継者」について、初めて掛布DCが語った。

 (1)躍動感

 「誰でも構わない。ただ、グラウンドで躍動感のある方につけてもらいたい気持ちは強い。甲子園で31番が動いているのは僕も魅力を感じる」

 現役時代の掛布DCが、そうだった。ホットコーナーで跳びはねるようにボールをさばき、投げた。打球の処理1つでも魅せていた。打撃は言うまでもない。決して大柄ではない体を全身バネのように使い、虎の主砲として数々のホームランを放った。まさに、聖地に似合う「31」だった。

 (2)左打ち

 「ただ、ある意味、左打者の方が似合うのかなあ。俺の前もカークランドという人がつけていたからかもしれないけど。何か広沢よりも林の方が良かったなあ(笑い)。広沢君どうこうじゃないけどさ。そのイメージが強すぎるからかもしれないけど、左打者の方が似合うと思うけどね」

 掛布DCの前任は、強打の左打ちカークランドだった。15年間「ミスター」が背負い、引退後は3年間の空白。そこから萩原誠、広沢克実、浜中おさむと右打者がつけた。06年から任された林威助は今季限りで退団。球団首脳も「励みにして、31番を競争で奪い取ってほしい」と期待する。

 若虎には期待の星の51番伊藤隼、三塁挑戦中の49番今成、3日に「小バース」と称した69番森田、売り出し中のルーキー65番緒方と左のホープがいる。さらにドラフト2位指名の鹿児島実・横田慎太郎外野手(18)に与えるプランもある。この日も打撃ケージ横で若手を見守っていた掛布DCのお墨付きは誰になるのか。「虎の31」をめぐって、勝負の秋になる。

 ◆掛布DC

 掛布氏の肩書「GM付育成&打撃コーディネーター」の略称をDCとします。育成=ディベロップメント(development)とコーディネーター(coordinator)の頭文字を取ったものです