キラに負けん!

 広島栗原健太内野手(31)が5日、広島市内の球団事務所で契約交渉に臨み、野球協約の減額制限いっぱいとなる40%ダウン提示でサインした。1億4000万円から5600万円減の8400万円まで年俸を下げたが、昨年手術した右肘の完全回復を確信。来季の一塁レギュラー再奪取、全144試合出場を誓った。

 栗原の表情は吹っ切れていた。減額制限いっぱいのダウン提示を受け入れ、時折笑みすら浮かべた。

 「ここ2年結果を出せていないので仕方がない。来年が勝負だと思っている」

 今オフは外野ノックを受ける場面も見られた。もちろん準備を欠かさないが、やすやすと居場所を明け渡すつもりはない。一塁レギュラーの最有力候補はキラ。今季途中加入し66試合で14発を放った相手から、強引に奪い返すつもりだ。

 「外野は若い時に2軍でやっていたぐらいなんでね…。(キラと)勝負だと思っている。僕は普通にやれば負けないと思っている」

 かつて不動の4番に座った男も情勢は厳しい。昨年5月に手術した右肘の影響もあり、今季は24試合出場で打率2割3厘、0本塁打。2年連続で出場20試合台、0発に終わり、オフは保有する海外FA権を行使せずに残留した。「待ってくれているファンもいる。なんとか復活したい」。そう言い切れるだけの手ごたえがある。

 「このままならいける、という感覚がある。これまでは全力で振ろうとした時、体が無意識にブレーキをかけて、ポイントにズレが出ていた。それがなくなった」

 違和感が消えた。ティー打撃の打球に伸びが戻ったと言う。オフは広島を拠点に自主トレを続け、年明けからは米国自主トレも検討中。「やれるっていうところを見せないといけない。今までとは違うなと思う」。2月のキャンプインからの猛アピール、早期の実戦出場にも意欲的だ。

 「苦しいシーズンだった。ここまで考えて悩んだのは初めて。いい経験になった」。前向きに13年を振り返った。来季の目標を問われると、即座に「全試合です」ときっぱり。11年以来3年ぶりの全試合出場を達成し、23年ぶりのV奪回を成し遂げる。決して平らな道のりではないが、堂々とスタートラインに立つ。(金額は推定)【佐井陽介】