ただアジャ・コングに似ているだけではない。ロッテのドラフト5位、井上晴哉内野手(24=日本生命)が、強打者の片りんを見せた。新人合同自主トレが始まった9日、ロッテ浦和球場の室内練習場で、マシンを相手にバットを振ると「気持ちよかったです」と、快音を連発させた。

 スムーズなスイングだった。ただ、使っている道具は普通ではなかった。重さ920グラム、長さ87センチのバットは球界でも巨大な部類。こん棒のように芯のところが急激に太くなる形は、ミズノの担当者に注文を出しながらつくりあげたオリジナルモデルだ。それを「アジャ・バットです」と、誇らしげに振り回した。

 社会人2年目の時、バットの先端に当たるミスショットが多く、コーチのアドバイスを聞きバットを2センチ長くした。巨大なバットを振れる体があった。ランニングで後れを取っても、打撃で規格違いなところを見せた。

 視察に来た伊東監督は「彼に20盗塁もゴールデングラブも求めない。痩せる必要もない。一振りにかけて勝負してほしい」と言った。井上にとっては最高の後押しだ。「キレを出して、2月1日に向けてしっかり準備したい」と、期待を受け止めた。【竹内智信】