大幅減とは思えないほど、終始笑顔だった。巨人高橋由伸外野手(36)が10日、東京・大手町の球団事務所で契約更改交渉を行い、半額以上の減額に一発サインした。1億8000万円減の1億7000万円(金額は推定)で1年契約。昨年の谷を超える球団史上最大の減額だが「大幅に下がるのは当然。来年も戦力としてというふうに言っていただいたので、まだまだ頑張ろうという気持ちです」と、表情は晴れやかだった。

 現役でプレーできることが何よりうれしかった。07年に4年総額16億円の大型契約を結んだが、腰の手術などで苦しんだ4年間だった。契約最終年の今季も左肋骨(ろっこつ)骨折で離脱。「なかなかすべてが思うようにはいかなかった」。苦悩を物語る言葉だった。ベテランは調整の意味合いが強いオープン戦でも、「(結果は)もちろん意識します。打てないと試合に出られなくなる」と、1打席1打席を大事にした。

 常に崖っぷち。その集中力があったからこそ、今季2度のサヨナラ打を放った勝負強さを生んだ。進退もささやかれる中、「戦力として考えてくれているということなので、来年は少しでも力になれればと思ってます」と、力強く誓った。

 来季もレギュラーは確約されていない。「今年も後がないと思ってやってきましたし、結果としていいものは出せなかったけど、もう1年チャンスがあるので、同じ気持ちでやっていきたい」と、背水であることは変わらない。

 巨人では契約更改のトップバッターを切った生え抜き最年長のベテラン。野球ができる感謝の気持ちは、来季こそ結果で示す。【斎藤庸裕】