<全日本大学野球選手権:東日本国際大2-1静岡大>◇10日◇1回戦◇東京ドーム

 東日本国際大(南東北)の右腕エース大西健太(4年=九州国際大付)が、チームを2年ぶりの初戦突破に導いた。2-0と完封目前の9回に1点を許したが、静岡大(東海地区)打線を6安打に抑えて完投勝ちした。

 気力で135球を投げ切った。東日本国際大の大西は2回に右ふくらはぎ、8回には左ふくらはぎをつっていた。完封目前の9回2死一塁から、初めて長打(三塁打)を浴びて1点を失った。さらに同点の走者を置くピンチを迎えたが、踏ん張った。「去年、悔しい思いをしたので」。2年越しとなった自身の全国初勝利をかみしめた。

 昨年の1回戦桐蔭横浜大戦も、この日と同じ東京ドームのマウンドに立った。初回に1点を奪われただけの「スミ1」完投負け(8回被安打5)。その屈辱を胸に秘め「初戦で気持ちが入りすぎた」と大西は振り返る。その影響でふくらはぎがつるアクシデントに見舞われたが、自己最速を1キロ更新する141キロをマークした。130キロ前後のツーシームを織り交ぜ、9三振を奪って静岡大打線に的を絞らせなかった。「スミ1」の1年後は、最終回に1点を許す「ラス1」完投。「この1勝ができたことが重い」と言った。

 背番号15は、今大会から「18」になった。リーグ戦は29試合18勝無敗。その実績と、チームへの信頼感からエースナンバーを与えた仁藤雅之監督(34)は「大西頼みのチーム。最後までいくしかない」と、交代させる気はなかった。その思いに、絶対的エースはきっちり完投で応えた。

 試合終了後のガッツポーズは控えめだった。「まだ初戦。あれぐらいで」と笑い「ベスト4の歴史を塗り替えたい」と、すぐに真顔で言った。目標は07年の「4強超え」。打線はリーグ戦打率1割9分7厘と低い。2回戦以降も、右腕エースにかかる期待は大きい。【久野朗】

 ◆大西健太(おおにし・けんた)1993年(平5)1月6日、京都市生まれ。陶化小1年の時に九条少年野球倶楽部で野球を始める。陶化中1年からボーイズリーグの京都ファイターズでプレー。九州国際大付(福岡)では3年夏に県16強。東日本国際大では1年秋からベンチ入り。176センチ、75キロ。右投げ左打ち。家族は母と兄。