<プロ野球ドラフト会議>◇27日

 東洋大の鈴木大地内野手(4年=桐蔭学園)が、ロッテから3位指名を受けた。中学時代は静岡裾野シニアでプレー、高校は神奈川・桐蔭学園に進学した。大学で大きく開花し、今春は主将として大学日本一に導いた走攻守3拍子そろった内野手だ。

 今ドラフトの「BIG3」と呼ばれるエース藤岡に壇上で迎えられ「M」の帽子をかぶせてもらうと笑顔になった。プロでも共に戦う仲間になった。「正直、ここまで緊張するのかというくらい緊張した」。別室で待機し、寮でテレビ中継を見ていた仲間から電話をもらった。ロッテ3位。「言葉が『うれしい』としか言えない」と喜んだ。小山町出身のプロ選手は中日、西武で活躍した杉本正投手以来、静岡裾野シニアからは横浜石川雄洋内野手以来ともに2人目だ。

 4度の全国制覇に日本代表の主将を務め、プロにも認められた。原点は中学まで暮らした静岡にあった。静岡裾野シニアでは当初は外野手だったが、2年の途中から遊撃手に転向した。「最初は『史上最低のショート』って言われて悔しかった。でもそこで基礎をたたき込まれたのが、今につながっている」。

 野球に対する情熱は昔から変わらない。平日の全体練習のない2日は、友人宅にある打撃練習場でバットを振った。御殿場線に乗り小山から沼津まで1人で通った。卒業前には、当時のエースが誘われた桐蔭学園の練習参加に「自分も参加させてください」と自ら志願。「後から聞いた話ですけど、入学は絶対にないと言われていたみたいです。ただ自分は挑戦したいという気持ちがあったから」と、逆転合格で進学した。

 指名を受ける数時間前、大学最後の試合に臨んでいた。優勝の可能性は消滅していたものの2安打を放った。しかし、次打者席で敗戦を見届け「ドラフトより、今日の試合に集中していたけど、負けて悔しい」。それでも3年にして副主将、今年は主将としてチームを引っ張り、リーグ優勝5度と4度の全国制覇を成し遂げた。「試合が終わった日にドラフト。次に向けて新しいスタートを切れる」と充実感をにじませた。

 競泳五輪金メダリストと同姓同名に感謝している。「すごい方だと後から知って、年を重ねるごとに『いい名前をいただいた』と思えるようになった。名前もすぐに覚えてもらえる。小さい子に『なりたい』と思われる選手になりたい」。あの鈴木大地氏は千葉出身。運命はついに結び付いた。【栗田成芳】

 ◆鈴木大地(すずき・だいち)1989年(平元)8月18日、駿東郡小山町生まれ。足柄小時代は学童野球・北郷ファイターズ、中学から静岡裾野シニアで内野手として全国大会に出場。高校は神奈川・桐蔭学園で、3年の夏は県大会5回戦敗退で甲子園出場なし。東洋大では創部初の3年生副主将、4年生で主将を務めるなど5度のリーグ優勝とベストナイン3度。4度の日本一に輝く。日本代表として出場した昨年の世界選手権ではキューバ戦で本塁打を放ち銅メダルを獲得。リーグ通算成績は301打数85安打、3本塁打、29打点、打率2割8分8厘。遠投110メートル。175センチ、77キロ。右投げ左打ち。両親、姉、兄。血液型B。