新婚旅行よりプロ入り準備!

 広島ドラフト3位の田中広輔内野手(24=JR東日本)が11日、新入団発表会見(9日)などの行事を終えて広島を離れた。田中は今年3月に亜子夫人(23)と結婚し、今月21日に結婚式を控えるが、新婚旅行は封印。社会人野手NO・1と期待される男は、1秒足りとも無駄にせず、弱肉強食の世界に飛び込む。

 表情はキリリと引き締まったまま。田中は勝負師の顔つきを崩さなかった。今年3月に高校時代から交際していた亜子夫人と結婚。今月21日に挙式を控える。数日間だけでもハネムーンを楽しむかと思いきや、浮かれムードは一切なしだ。

 「新婚旅行にはいきません。来年以降、また時間がある時でいい。妻も分かってくれていると思います」

 大切なイベントを後回しにしてでも、プロ入りの準備に時間を割きたい。プロ野球選手としては小柄な172センチで生き抜いてきた覚悟が見え隠れした。「しっかり練習についていける体力をつけたい」。今後は千葉・柏市内にあるJR東日本野球部のグラウンドで自主トレに励む予定だ。

 鍛え抜かれた肉体を見れば、努力家だと分かる。ウエートトレーニングを本格的に始めた大学3年時に75キロだった体重は今82キロ前後。ユニホームのパンツはOサイズで「尻回り、足回りを絞ったりはしていない。僕の身長からしたら太いんでしょうね」と照れ笑いする。

 JR東日本では1年目の昨季、1番遊撃で準優勝に貢献して、新人賞に相当する若獅子賞を受賞。「今の体重なら野球で走る距離のスピードは大丈夫。自分は上半身に筋肉がつきすぎやすい。タイプ的に上に筋肉がつきすぎても嫌なので、下半身を重点的にやっています」。順調に肉体強化を続け、ベストの形を見つけつつある。

 方向性は明確だ。小柄な体を生かしたスピードを維持しながら、強振できる打者を目指す。理想は入団会見の壇上で明かした広島野村監督の現役時代だけではない。「小さい時から見ていた楽天松井さんは3割30本30盗塁を達成しているし、巨人高橋さんとか…。イチローさんも、打撃練習では飛ばすことを意識しながら振っているように思う」。高い目標に向け、一瞬たりとも無駄にしないつもりだ。【佐井陽介】

 ◆田中広輔(たなか・こうすけ)1989年(平元)7月3日、神奈川県生まれ。東海大相模-東海大-JR東日本。安定感ある打撃と広い守備範囲に定評がある。巨人菅野とは高校、大学と同期。50メートル走6秒0、遠投100メートル。172センチ、79キロ。右投げ左打ち。契約金7000万円、年俸1100万円。背番号63。(金額は推定)