侍ジャパンのダルビッシュ有投手(36)が17日、宮崎で始まった強化合宿を自然体でスタートさせた。

メジャー組でただ1人の参加となった侍最年長右腕は、時差ぼけも考慮して独自調整。球場に詰めかけた1万8541人のファンの熱視線を受けながら、コンディション調整に専念した。18日にブルペン入りする予定の“帰ってきたウルトラ腕”は、世界一へ気負いすぎない雰囲気づくりをしつつ、日々ベストを尽くす大事さを初日から体現した。

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ダルビッシュが驚いた。「ちょっとすごいなと思いました。ありがたいですね」。午前10時前にグラウンドへ登場すると、スタンドのファンから大きな拍手が送られた。期待の大きさを感じる場面だったが、気負うそぶりは一切なし。記念撮影後のアップ中には佐々木や山本、高橋宏ら若手と積極的に会話した。「今のところ結構、警戒されていると思う」と、自ら見えない壁を壊しにいった。

アップ後は一時、投手陣の輪から離れて球場内へ直行した。「今日の体の状態的に、ちょっと長めに(ストレッチなどを)やらなきゃいけないなと」。他の投手がキャッチボール中に首脳陣にも了承を得て独自調整。14日に帰国したばかりで「(時差ぼけを)アジャストするのは、たぶん1週間くらいかかる」とあえて無理はせず、コンディション調整に努めた。

日本時間5日に米国から発信したメッセージを日本の後輩たちの前で体現した。パドレスの球団イベントで「戦争に行くわけではない。気負う必要はないと伝えたい」と話した、真意は-。

ダルビッシュ 結果を気にしすぎてしまうと、自分が追い詰められていくというか、勝手にプレッシャーがかかる。でも、その日その日でしっかり準備をして集中することが大事。どこの国でもそうですけど、そこをまだ間違えてる選手がいる。そこは間違えてはいけないよ、という意味で。

日本ハム時代の盟友、鶴岡ブルペン捕手とのキャッチボール中もファンの視線を独り占めした。以前は見られることに神経質になったこともあったが、今は違う。36歳となった昨年、心境の変化が起きた。

ダルビッシュ 自分も今年で37歳。この前(パ軍から6年)契約いただきましたけど、冷静に考えて長くできる保証はない。そうなると野球が最後の日になるかもしれないと実感したことで、いろんなことが、晴れていった。

いつも、その日のベストを尽くす。14年ぶりに侍ジャパンの11番を背負ったダルビッシュが、強化合宿初日から世界一奪還への道筋を示した。【木下大輔】

▽栗山監督(ダルビッシュの立ち居振る舞いに) 感謝しかないです。難しい調整になりますけど、若い人たちといろいろ話をしてくれながら、自分も学び、いろんなものを与えてもらっている。他の選手たちの喜ぶ表情がね、良かったなって思います。

○…宮城大弥投手が“ダル塾”でフォークを教わった。抜けることを恐れずに、キャッチボール相手の佐々木の右足を目がけてフォークを投げるイメージをアドバイスされた。その通りに投げると佐々木も「めっちゃ揺れてる」と絶賛。好感触をつかんだ若き左腕は「いいアドバイスがもらえたと思う。頑張ります」と金言を役立てる。

○…松井裕樹投手がダルビッシュの助言をブルペン投球に生かした。強化合宿初日からブルペン入り。フォークやスライダーを交えて31球を投げ込んだ。36歳のメジャーリーガー右腕からはWBC使用球への対応について「深く考えすぎないように」とアドバイスされた。「まだ嫌がる部分はあるので、力を抜いてリラックスできるかなと」と鈍感力を取り入れて対応していく。

○…今永昇太投手も“ダル塾”で変化球を学んだ。全体練習後にウエートルームで「小1時間くらい。いろんな話をしました」。苦手とする曲がり球について、アドバイスをもらったという。「ダルビッシュさんが曲がり球が得意ということだったので、教えてもらったことを生かしたい」と、強化合宿初日から収穫を得た。