初優勝を目指すプエルトリコが、オランダにサヨナラ勝ちを収め、前回大会に続いて決勝進出を決めた。準決勝の1試合目は、3-3のまま、延長戦に突入。タイブレーク(無死一、二塁から)となった11回、オランダの攻撃を、1死満塁から二ゴロ併殺とし、無失点で乗り切った。その裏、1死満塁から7番ロサリオがセンターへ決勝犠飛を放ち、熱戦に終止符を打った。

 最後は、劇的な幕切れとなったものの、試合の流れを決めたのは、名捕手モリーナだった。1回表無死一、二塁の場面で、大きく離塁した二塁走者を自慢の強肩でアウト(記録は盗塁死)。さらに、1死二塁から右前打を放ち、一塁を踏んだ後にベンチへ向かって雄たけびを上げるプロファーを、バックホームされた送球を一塁に転送して帰塁寸前でタッチアウトに仕留めた。直後に先制2ランを喫したものの、モリーナの2送球がなければ、大量失点は避けられない展開だった。ロドリゲス監督が「初回にモリーナがやったことで、試合が決まった」と絶賛するスローイングだった。

 これで1次ラウンドから無傷の7連勝。2013年はライバルのドミニカ共和国に敗れ、頂点を逃した。今年はベルトラン、モリーナらのベテランに加え、同点2ランを放った22歳のコレア、リンドアら若手とのバランスが抜群。選手全員が髪の色をブロンドに染めているのも「一致団結している証し」(コレア)だ。決勝の相手は、日本か、米国。「このチームは13年よりも強い。どちらが来ても、準備はできているよ」。ロドリゲス監督は、自信たっぷりに言った。【四竈衛】

 ◆プエルトリコが1次ラウンドから無傷の7連勝で2大会連続決勝進出。WBCで2度の決勝進出は06、09年に連覇した日本に次いで2チーム目。前回13年に8戦全勝したドミニカ共和国に続く完全Vに王手をかけた。プエルトリコはWBC通算20勝目となり、日本(23勝)に次いで2番目に20勝に到達した。

 ◆タイブレーク 野球やソフトボールで、早期決着を目指して延長戦で人為的に走者を置く特別ルール。今大会は11回以降に実施。無死一、二塁から攻撃を始める。打順は10回終了時点から引き継ぎ、先頭打者の直前2人が走者となる。