抗原キットを手にするゼロワン代表の大谷晋二郎(ゼロワン提供)
抗原キットを手にするゼロワン代表の大谷晋二郎(ゼロワン提供)

プロレスラーたちが抗原キットをお届けします。「困っている人を助けたい!」と、地域貢献などを行っている、ゼロワンの「お助け隊」が新たな活動を始めた。20日から業者と協力して抗原検査キットを販売・配送している。一部地域を除き全国からの注文を受け、1都3県(限定地域)には大谷晋二郎(48)らレスラー自らが、練習後に直接届けるという。大谷は「大雪などもあり、難しい地域もあるが、即日発送の翌日到着を基本にお届けする。僕らでできる精いっぱいを目指す」と意気込む。

ゼロワンでは05年ごろから小、中学校や、商店街、ショッピングモールなどで無料興行を行い、いじめ撲滅を訴えてきた。訪問した学校の生徒宅にホームステイすることもあったという。11年3月の東日本大震災時には救援物資を直接被災地に届け、同5月には震災後初のプロレス興行を行った。

昨年はコロナ禍で多くの大会が中止となる中、5月にはレンタカー会社とタッグを組み、外出制限で困っている家族やお年寄りに対して送迎や買い物の手伝い、弁当のデリバリーなどを無料で実施。「自分たちに今できること」を考え、実行に移してきた。11月には「抗体検査プロレス」と題し、キットを持って地方を回り、集まった観客に無料で検査をしてデータを渡すという企画を実施。大谷は「大丈夫なんだという確認をした上で、ガイドラインを守りながらプロレスを見ていただく」と今後も安全面を考えた上でプロレスの普及も行っていくつもりだ。

21日、抗原キットを配送したゼロワンの田中将人(ゼロワン提供)
21日、抗原キットを配送したゼロワンの田中将人(ゼロワン提供)

2度目の緊急事態が発令され、多くの規制がある中、大谷らは「抗原検査とプロレスの合体は素晴らしいこと」と新たな取り組みに着手。忙しい練習の合間を縫って、レスラーたちが自らの足で奮闘する。開始してわずか数日だが、関係者は「おかげさまで介護施設などからの注文が増えている」と手応えを口にする。

21日の練習後、実際に配送した世界ヘビー級王者の田中将人(48)は「僕らはリング上が全ての『プロレスラー』。形は違えど、誰かのためにという大谷の思いは、僕ら表に出る人間に課せられた使命」と熱く語る。小さいころに憧れたアニメの『タイガーマスク』が、素顔では子どもたちにおもちゃをプレゼントしていたことも思い出した。「いつか自分の子どもが大きくなった時に『お父さんがリングを下りたら、こういうことをしてたんだ』と思ってもらえたらうれしい」と目を細めた。

1月は1日の大会以降、配信のみとなり、2月以降の興行もほとんど見通しが立っていない。それでも「本当に強い人はイジメなんかしないし、何度でも立ち上がる」。創始者である故橋本真也さんの魂を受け継ぎ、ゼロから立ち上がったレスラーたちが、真っ向勝負でコロナとの戦いに挑み、安心、安全なプロレスを届けていく。【松熊洋介】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

◆抗原・抗体検査キットの申し込み(5セットから) URLはhttps://www.daiko-zero1.jp/test_kit/。プロレスラーによるお届けは東京駅より30キロ圏内(一部除外地域あり)。問い合わせは03・6661・6961、ダイコーZERO1まで。

◆プロレスリング・ゼロワン 01年、新日本を退団した故橋本真也さんが「ZERO-ONE」を創設。04年に橋本さんが活動休止を発表し、団体を去るが、大谷らが「ZERO1-MAX」として再出発。09年に現団体名に改称。今年3月14日に両国国技館で旗揚げ20周年大会を行う予定。

◆大谷晋二郎(おおたに・しんじろう)1972年(昭47)7月21日、山口県山口市生まれ。92年に新日本プロレスに入団し、同年6月にデビュー。01年、橋本真也が創設した団体「ZERO-ONE」に移籍。05年から団体代表。主なタイトルはIWGPジュニアヘビー級王座、ゼロワン世界ヘビー級王座など。181センチ、95キロ。

21日、抗原キットを配送したゼロワンの田中将人(ゼロワン提供)
21日、抗原キットを配送したゼロワンの田中将人(ゼロワン提供)