今こそベルト挑戦の時だ。東京女子プロレスの山下実優(28)は9日八王子大会で瑞希の持つプリンセス・オブ・プリンセスのベルトに挑戦する。王者に輝けば、最多4度目の戴冠となる。昨年3月に中島翔子に敗れてベルトを失った際には「達成感があった」というが、なぜまた挑戦を決めたのか。
山下 中島に負けた時には正直もういいかなと思ったけど、瑞希が取ったのを見て、また挑戦したいという気持ちになった。
山下の中でベルト挑戦は「タイミング」だという。瑞希が王者になった時点では「まだその立場にない」と表明しなかった。最近は海外での活動も多く、団体の中では実力はもちろん、知名度もトップクラス。だが、それだけで自分が挑戦するのは「面白くない」と感じていた。
山下 海外に3カ月修行に行って、トーナメントで優勝して、という挑戦すべき状況がそろってからいかないとお客さんも納得しない。自分をもっと面白くした状態で挑戦しようと。
どうすればふさわしい挑戦者になれるか。普段から自己プロデュース力にたける山下は、米国に修行へ行き、強靱(きょうじん)な肉体を手に入れた。さらに強行日程の中、8月にプリンセスカップ初優勝。自ら立てたストーリー通りの結果を手にし、堂々と王者の前に立った。
瑞希には、以前からベルトに対する熱い思いや歴代王者に対するリスペクトを感じていた。それだけに「いつか彼女が取ったとき、唯一無二のチャンピオンになりそう」と思ったし、瑞希だからこそ挑戦を決めた。
ベルトを取った先にはさらなる野望を抱いている。
山下 海外で東京女子の試合ができるきっかけを作りたい。海外経験で培ったものを生かして、王者として見せることができれば。
今年3月に米ロサンゼルス大会を行った。12月の開催も決定。
山下 もっともっとやれる。ウケる要素はかぶってないし、キャラが立っているので、いろいろ組み合わせると面白い。選手の経験にもなるし、いろんなタイプのお客さんが来れそう。
頭の中は「95%くらいがプロレス」という“名プロデューサー”山下が思い描いたとおりのシナリオで、4度目の頂点に輝く。【松熊洋介】