何事も知見を広げることは人生を豊かにする-。再十両の東13枚目の勇磨(25=阿武松)の姿から再認識させられた。3年ほど前から近大短期大学部商経科に在籍し、場所後の空いた時間などでスクーリングに通ったり、8000~1万6000字のリポート課題に取り組んだり。「知らない世界を知ることって楽しくないですか?」と声を弾ませる。白い歯を見せて生き生きと語る姿に、学ぶことの本質とは何かと考えさせられる。

14年春場所初土俵の中卒たたき上げ。相撲部屋での生活などにも慣れた22、23歳の頃、生活の中で新しいことを始めたい意欲が高まった。中学時代の恩師から勧められて近大への入学を決め、時間がある時に法律や歴史などの講義の課題をこなす。あくまで力士として活躍することが第一で、卒業をすることにこだわらず自分のペースに合わせて机に向かう。ヨーロッパ史が好きで、「ジャンヌダルクやナポレオンの生きざまをみると燃えるものがある」と興味が尽きない。

14日目を終え7勝7敗。英雄たちの歴史から学んだことを教訓に、この難局を自らの力で切り開いて勝ち越しを決めてほしい。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

土俵入りする勇磨(2023年11月14日) 
土俵入りする勇磨(2023年11月14日)