読者が選ぶ「第20回日刊バトル大賞」の15年プロレス部門は、新日本のIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(28)が最優秀選手に選ばれた。15年のプロレス界の主役は、中邑真輔退団後の新日本立て直しにも自信を見せた。9日は11日大阪大会でのIWGPヘビー級選手権の調印式に臨んだ。

 オカダにとって15年は、業界トップの地位を確立した年だった。IWGPヘビー級王座奪回、G1での活躍。そして、天龍源一郎からプロレスの未来を託された引退試合。プロレス界の話題の中心には、常にオカダがいた。

 年が変わり、新日本に激震が走った。主力として団体を支えた中邑の退団。しかし、オカダは周囲が抱く危機感を逆にチャンスと考えている。「12年に米国から凱旋(がいせん)して以来、周りがピンチという状況がなかった。だから、楽しみなんですよ。そこで、『オカダすごいな』と思わせられる」と余裕の笑みすら見せた。

 中邑は長年の夢というWWE挑戦への道を選んだが、オカダは「今は、新日本でなきゃ。オレがいなきゃダメ。中邑さんが出ちゃったからこそ、ボクしかいない」と、新日本立て直しを一番に考えている。

 国内だけで年間135試合をこなした昨年、オカダはタイトル戦がないシリーズでも、いかにして盛り上げていくかを考えながら試合をしていた。団体だけでなく、業界を引っ張る自覚が、オカダを進化させている。「今年も突っ走る。1年中、話題になるような状況に盛り上げていく」。今年もオカダがプロレス界に金の雨を降らせる。【桝田朗】