WBO世界ミニマム級王者の福原辰弥(28=本田フィットネス)が24日、同級1位山中竜也(22=真正)との初防衛戦(27日、熊本・芦北町民総合センター)を前に熊本市内で予備検診を行った。

 2月末の暫定王座決定戦で同級1位モイセス・カジェロスを判定で下し、4月に、同級王者高山勝成のアマチュア転向宣言によるプロ引退で正規王者となった。それもあってか、浮かれた様子は皆無。王座奪取の自分へのご褒美は約3万円の腕時計だけで、今も熊本市内のゲームセンターに時給830円で籍を置き、休職して初防衛を目指す。

 サウスポーの王者は、山中について「足が使えて、カウンターを取るのがうまい。持ち味を出させないようにしたい。(KOは)流れの中でチャンスがあれば…」。ベルト奪取後は体幹強化に努めながら、山中を想定して右のアウトボクサーと100ラウンド超のスパーリングを消化した。

 16年4月の熊本地震で被災した。世界王者になると、同じ被災者の人たちに「力もらったよ」と声をかけられた。トランクスには今も「がんばろう熊本」の文字が光る。「僕なんか、世界チャンピオンの中ではまだまだ下の方ですから」。謙虚な庶民派チャンプが初防衛戦をクリアすれば、9月9日に同い年の恋人と観に行くミスターチルドレンの熊本ライブがご褒美になる。